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アンゲルス  作者: Leone
第四章 遠征
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第百九十話 生還の可能性

「さて、どうやって殺してやろうか……」

 ロイドはこの上ない楽しさに浸っていた。

 眼前で動けずにいるランツァを今すぐ殺したい。ただそれだけの欲。そして、それを簡単に叶えられるこの状況。

 その全てが、ロイドにとって最高の快楽なのだ。

「堪らねえなぁ……。じっくり甚振って殺すも良し、一瞬で止めを刺すのも良い。なぁ小僧、テメェはどうされたい?」

 不敵な笑みを浮かべながら、ロイドはランツァの目の前まで顔を近づけて尋ねた。

「…………」

 だが、返答はない。

 いや――

「まあ、このままじゃ話したくても話せねえよなぁ……」

 ランツァは今、全く動けないが故に話すこともままならない。

 つまり、返答がないのではなく、返答できないのだ。

「仕方ねえなぁ……。テメェの意見も尊重してえから、解いてやるよ」

 直後、ランツァは何かしらの呪縛から解放されたことに気づき、一瞬でロイドから距離を取る。

「何のつもりだ……!?」

「たった今言った通りさ。テメェの意見も尊重するってな。さぁ、言え。どうやって殺してほしい?」

 ロイドが何を考えているのか、ランツァにはわからなかった。

 既に勝負は決していたのだ。それをわざわざ無駄にして、敵にチャンスを与え、自らの命を危険に曝す。

 正気の沙汰ではない。

 だが、ランツァにとっては願ってもいないことでもある。

 こんなチャンスを、逃すわけにはいかない。

 少なくとも先程とは違い、今は動くことができる。

 ロイドの魔の手から、仲間も連れて逃げ出せるかもしれない。

 ただし、今もウィリアム達はロイドに動きを封じられているため、ランツァが彼らを抱えてでも逃げる必要があるわけだが。

 でも、十分だった。

 少しだけでも、生き延びられる可能性があるのなら。

 とはいえ、ロイドが素直に逃してくれるはずがない。

 ここから逃げ出すには、どう足掻いてもロイドに隙を作らせるしかなかった。

(やってやる……!)

 加速を称するレギオンの王――ロイドに真正面から挑むことを決意するランツァ。

「俺は――」

 考えをまとめ、漸くロイドの質問にランツァは答える。

「俺は、お前を倒す!! それで終いだ!」

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