第百八十五話 ロイドの目的
「何だ……!?」
気がつけば、ランツァ達はそれぞれの独房の中へと入れられていた。近くにある階段と、窓がないという点を見る限り、どうやら地下牢らしい。
そして、ランツァの目の前には、独房の外から彼らを眺めるロイドの姿がある。
「フフフフ……。わけがわからねえのも無理ねえさ」
「どういうことだ……? 俺達に、一体何をした!?」
焦りと恐怖が入り混じった声音でそう問いかけたのは、ウィリアムだった。
ロイドはそんなウィリアムを嘲笑し、彼の質問に対してこう答える。
「教えるわけがねえだろうが。バカか、テメェは」
「…………」
返す言葉もない。
ウィリアムがロイドの立場であった場合、ウィリアムもロイドと同じようにしていたでろう。
敵に己の手の内を明かすということは、自ら首を絞めることと同義だからだ。
「俺様が一体何をしたのかはどうでもいい。俺様が知りたいのは、なぜテメェらがアザルドに来ているのか、だ」
目的を告げるロイド。
無論、ランツァ達が素直に答えるとは思っていない。
故に、ロイドはある条件を出す。
「もしその理由を教えてくれたら、無傷でテメェらを逃してやろう」
「本当か……?」
半信半疑のウィリアム。
一方で、
「嘘だ」
ランツァは全くロイドを信用しなかった。
「まあ、簡単には信じちゃくれねえよなぁ……」
ロイド自身、こうなることは予測していた。
だからこそ、まだ他にも手は準備してある。
「一応忠告しとくが、答える気がねえならテメェらに用はねえ。さっさと殺すまでだ」
淡々と、ロイドはそう言い放った。
その口調が、返ってランツァ達により強い恐怖を与えることを知りながら――。
「五分後にまた来る。それまでじっくりと話し合うといい」
最後にそう言い残して、ロイドは階段を上っていき、その場から姿を消した。