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アンゲルス  作者: Leone
第四章 遠征
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第百八十四話 逃走

「フフフフ……」

 不気味な笑い声を漏らすのは、加速を称するレギオンの王――アクセラ・ロイドだ。

 実力は未知数と言えど、レギオンの王。数多の悪魔を統べる化け物を前にしたランツァ達は、誰一人例外なく恐怖に怯えていた。

(どうする……!?)

 それでも、諦めずにランツァは模索し続けようとした。

 この窮地から免れる手段を――。

 だが、そんな手段はない。

 あるのは、絶望だけ……。

 そうランツァが考えてしまう原因は、垂れ流されているロイドの禍々しい力にある。

「あまり警戒するなよ……。俺様は、テメェらにちょっと聞きてえことがあるだけなんだよ……」

 常に口角を吊り上げ、不気味な表情のまま話し続けるロイド。

「テメェら、アンゲルスの奴らだろ? ここで何してやがる?」

「…………」

 ロイドの質問には、誰も答えなかった。

 ランツァ達は悪魔側から何かしらの情報を得ようとしているのだ。そのことを、わざわざ敵に教える必要などない。

 当然と言えば、当然のことである。

 しかし、無言という対応は逆に敵の警戒心を生む。

 その対応は悪手だとランツァが気づいた時には、もう遅かった。

「まあいい。答える気がねえなら、俺様が無理矢理にでも聞き出してやるからよ」

 ロイドの言葉を耳にして、まず最初に思い浮かんだものは――拷問。

 無論、その先に待ち受けているのは、死だ。

 最悪の場合、こちらの情報を敵に渡してしまうかもしれない。

 それだけは、何としてでも避けねばならない。

 キリエやレリア、仲間の皆を危険に曝すわけにはいかないからだ。

 とるべき行動は――一つ。

「逃げるぞ!!」

 ランツァの一言で、皆がロイドに背を向け走り出した。

 みっともない。そう思うかもしれない。

 だが、ランツァ達にはこうする他に生き延びる術がない。

 死んでしまっては元も子もないからこそ、ランツァは逃げることを選んだのだ。

(生きていれば、また……)

 一瞬、仲間達の顔がランツァの脳裏を過った。

 その時、フィンガースナップの音が鳴り響いた。

 音のした後方へランツァが走りながら視線を向けると、音を鳴らしたであろうロイドが不敵な笑みを浮かべていた。

 そして、ゆっくりとロイドの口が開く――。

加速空間エンドスペース

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