第百八十話 誓い
キリエの案というのは、一体どういうものなのか。誰もが興味をもち、一言も聞き逃すまいと聞き耳を立てていた。
ステージ上に上がっているキリエは、聴衆の様子が原因で緊張してしまう。
「わ、私が考えた案というのは、皆さんが疑っている彼らに活躍させること。彼らが私達にとって有益であると証明できれば、皆さんも文句はないでしょう?」
キリエの問いかけに何人かが反応し、首肯していた。
でしたら、とさらにキリエは続ける。
「彼らを、アザルドへ情報収集に行かせてみてはどうでしょう?」
途端、周囲がざわつき始めた。
もちろん原因はキリエの言葉にある。
その原因を再度確認するために、一人の天使が尋ねる。
「あいつら四人で、なのか……?」
「そうよ」
直後、さらに周囲が騒々しくなった。
「正気か!? あいつらの味方に悪魔がいるとはいえ、あんな地獄に行って帰って来れるのは、最低でも翼の力を発動できる大天使だって言われているんだぞ! あいつらがアザルドへ行ったところで、何もできやしないんだよ!」
そうだそうだ、と周囲の天使達も無駄だと叫んでいるようだった。
それを聞いていたランツァは、
「俺は翼の力を扱えるんだけど、文句あるのかよ!?」
己を侮辱されたことに対して、怒りを顕にしていた。
一方、反論を述べていた天使も負けじと逆ギレする。
「じゃあ何だ? 俺達にとって有益だと証明するつもりかよ!?」
「当たり前だ。お前らがそれで納得してくれるならな」
ランツァは何の躊躇いもなく、そう答えた。
他の三人には何も相談せずに決めてしまったが、すでにランツァは自分一人でもやり遂げてみせると誓っていたのであった。