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アンゲルス  作者: Leone
第三章 八高対抗戦
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第百六十四話 意想外

 火、水、氷、雷、地、風、光、闇、滅、生、吸、無。これら十二の属性それぞれの必殺技、十二奥義。

 その一つ、氷属性の奥義、氷龍砲グランス・グリッド

 この奥義は、龍のシルエットをした絶大なる氷の力が解き放たれ、あらゆる存在を呑み込み、凍てつかせ、冥界へと誘う。

 氷の技の中で頂点に立つ氷龍砲グランス・グリッドなら、相手が炎の悪魔でも凍りつかせられるかもしれない。

 さらに、先程のように内側から氷を破られることもなく、永遠にヴァルナスを封じられるかもしれない。

 つまり、うまくいけばアンゲルス側の大勝利となるのだ。

 そう考えると、エレシスは重大な役目を背負っていることになる。

 自分達の勝利。そして、仲間の命も――。

 しかし、エレシスは決してネガティブなことを考えなかった。

 ただ己の力を信じ、ヴァルナスに挑む。

氷龍砲グランス・グリッド――!!」

 遂に、氷の龍がエレシスの右手から解き放たれた。

 その龍から溢れ出る氷の力は、周囲を凍てつかせてしまうくらいに気温を下げる。

 それほどの力を目にし、肌で感じたヴァルナスが歯を剥き出しにして笑みを浮かべる。

「最高じゃねえか……!」

 ヴァルナスの纏っている炎が、爆発の如く燃え盛る。

 同時に、禍々しい悪魔の力も増大していた。

 どうやら氷龍砲グランス・グリッドに正面からぶつかり、力のみで制するつもりらしい。ヴァルナスの右手もまた、凄まじい炎の力が纏わりついていたのだ。

 そう思った時、エレシスの背を悪寒が走った。

 それは、ヴァルナスに対する恐れだった。

 あの右手に潜む力は、途轍もないものだと悟ってしまったが故に。

 そして、その右手に潜む力が今、氷龍砲グランス・グリッドと衝突しようとしていた。

「エクス――」

 ぎりぎりまで氷龍砲グランス・グリッドを引きつけ、ヴァルナスの目の前まで迫る。

 渾身の力を宿したヴァルナスの右拳が氷龍砲グランス・グリッドと衝突し、再び水蒸気爆発を引き起こすかと思われたその時だった。

 二つの絶大なる力の間に、何者かが割って入ったのだ。

 そして、一瞬にして両者の力を粉砕してみせた、巨大な鎌。同時に凄まじい爆風が生じ、さらに霧までもが周囲に撒き散らされて視界が悪くなる。

「もう十分よ」

 何者かが、霧の中でそう告げた。

 もう闘う必要はない、と――。

「まさか……」

 キリエは愕然とする。霧の中にいる何者かの声に、聞き覚えがあるのだ。

 いや、間違いない。彼女の声だ。

 彼女の名前は――

「ティナ……!?」

 悪魔であり、敵でもあるティナ・グレース。

 霧が徐々に晴れてきて、その姿が明らかになる。右手には、巨大な鎌が握られている。

「キリエ、話があるの」

 キリエはまだ知らない。

 この先に待ち受けている、過酷な運命を。

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