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アンゲルス  作者: Leone
第三章 八高対抗戦
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第百五十六話 仮面のヴァルナス

「私達相手に、一人で挑むなんてね……」

 呆れ半分、驚き半分のキリエが呟く。

「流石にそれは、少し舐めすぎじゃないかしら?」

 その直後、キリエがヴァルナスに向かって突っ込んでいく。

 思考無視メンタルニグレクトの力を宿す蹴りが、ヴァルナスに襲いかかる。

 キリエのその蹴りを、ヴァルナスは片腕で防ごうとする。

 だが、

「私の攻撃は――――」

 そんな防御は、キリエの前では無に等しい。

「誰にも防げないッ!!」

 あらゆる意思を無視し、相手の行動全てを無にする。

 それが、キリエの能力。

 どれだけ力量差があろうが、その力には関係ない。

 キリエの蹴りはヴァルナスの守りを無視して、ヴァルナスを吹き飛ばしたのだ。

 体育館のステージの方へ飛ばされたヴァルナスは、体勢を立て直せず、背中から派手にステージを破壊する。

「すげえ……」

 赤髪の男はステージの方を見つめて、思わず息を呑んでいた。

「まだよ」

 しかし、キリエの表情はまだ、危険を感じているようだった。

「ヴァルナスは、全然本気じゃない……」

 数秒、沈黙が流れる。

 そして、

「はァ~、面倒臭ェ……」

 ヴァルナスがゆっくりと立ち上がり、気だるそうに呟いた。

 そんな彼の姿を見て、コフィが口の端を吊り上げ、笑みをこぼしていた。

「へえ……。あれでこの程度のダメージなのか」

 ヴァルナスの片腕は赤く腫れ上がり、頭から少量の血を流している。

 キリエの攻撃は、ヴァルナスにダメージを与えていたのだ。

 このダメージは確かに微々たるものだが、翼の力を解放すれば――。

 いける。勝てる。

 ――これなら、仲間を守ることができる!

 そう、キリエが思った矢先だった。

「これが、全力か?」

 恐ろしいほどの悪魔の力が、ヴァルナスから流出する。

 キリエを威嚇するかのように。

 何かに対して、怒りをぶつけるかのように。

「もし全力なら、興醒めだ。さっさとてめえらをぶち殺して、それで終わりだ」

「……それは良かったわね」

 唐突に、キリエが笑みを浮かべる。

「私もまだ、本気じゃないから」

 キリエのその台詞を聞いた直後。

 ヴァルナスが歯を剥き出しにして、派手に笑う。

「舐めてんのは、てめえじゃねえか……。いいぜ。てめえがその気なら、嫌でも本気を出させてやる。この俺の――――」

 ヴァルナスが、とんでもないことを口にする。

「真の姿でな!」

 キリエ達は直に知る。

 ヴァルナスに闘いを挑むことが、どれだけ愚かなことなのかを。

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