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アンゲルス  作者: Leone
第三章 八高対抗戦
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第百五十四話 絶望

「ったくよォ……」

 ヴァルナスが、悲しみに暮れているランツァに近寄る。

 そのことに、ランツァは気づかない。ただ涙を流し、担任の亡き骸を見つめていた。

 しかし、キリエは違った。

 担任の死を悲しんではいるが、紛れもないヴァルナスの殺意には気づいていた。

 そしてヴァルナスは、そんなキリエには気づいていなかった。

「ゴミが死んだくらいで、うるせえんだよ……」

 ヴァルナスが、ランツァの前で拳を振り上げる。

 それを見て、キリエが咄嗟に彼らの間へと割って入ろうとする。

「ランツァッ!!」

 だが、遅い。

 間に合わない。

 ヴァルナスの拳が、ランツァを襲う。為す術もなくランツァは吹き飛ばされ、体育館の壁を突き破ってさらに数メートルの所で漸く止まった。

 ランツァは、起き上がらない。

 ヴァルナスの拳の破壊力を、その強さを知っているが故に、キリエは絶望していた。


 ――全員、ここで殺される。


 死。

 ただその言葉だけが、キリエの脳内を駆け巡っていた。

 希望などない。

 奇跡など、起こるはずがない。

 だけど、

「レリア……。ランツァを、任せるから……」

 このまま、何もせずに殺されるわけにはいかない。

「私は、ティナ達を倒す!」

 はっきりと、キリエがそう言い放った。

 レリアは何も言わずに頷き、ランツァの所へと移動する。

 その時、誰かが小さな声で呟く。

「俺達も、手を貸そうか?」

 だが、その小さな声は妙に響いていた。

 キリエは自分達にとって吉か凶か、その曖昧な言葉を発した者へと視線を向ける。

 すぐに、その者と視線が合った。

 紫色の髪を逆立て、黄色の瞳は刃物のような鋭さを感じさせる。

 その者の名は――

「天使よりも先に、悪魔を滅ぼせ。それが、俺達のやり方だからな」

 コフィ・モールス。

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