表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンゲルス  作者: Leone
第三章 八高対抗戦
156/229

第百五十三話 涙

 赤い。

 妙にぬるぬるしていて、とても赤い液体。

 ランツァの全身に飛び散ったそれは、ある事実だけを告げる。


 ――どうして、ここから逃げてくれなかったんだ。

 ――どうして、逃げてくれと、もっと強く言えなかったんだ。

 ――どうして、目の前の人すら、護れないんだ。


 後悔しても、もう遅い。

 残酷な現実は、誰にも変えられない。

「先……生……」

 ランツァは倒れてきた担任を受け止め、床に寝かせる。

 担任の表情は、微笑んだまま。

 その顔を見て、ランツァは思わず涙を浮かべていた。

「なんで……息してないんだよ……」

 返答はない。

 いや――あるはずがない。それはわかっていた。

 だけど、受け入れられない。認めたくない。

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!」

 悲しい心が、ランツァを叫ばせる。

 キリエ、レリアも同じ気持ちだった。

 彼女らも、泣いていたのだ。

 例外なのは悪魔達と、決勝戦の相手チームの者達だけ。

 彼らはただ、眼前の事象を見ているだけだった。

 即ち、死者を――。

「邪魔者は全て消す……」

 先ほど言った言葉を、ティナが繰り返した。

 そう、殺したのだ。

 悪魔であるティナが、人間である己の担任を殺したのだ。


 ランツァ達の担任は、もういない――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ