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アンゲルス  作者: Leone
第三章 八高対抗戦
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第百四十九話 激昂

「え…………?」

 ほんの一瞬の出来事だった。

 ランツァは眼前の事象を信じられなかった。――信じたくなかった。

 赤髪の男が放ったボールが、ランツァの友――ウィリアムを強引に場外まで吹き飛ばしていたのだ。

 自分達の正体が明らかになろうがなるまいが、関係ない。そう思わせるほど、無茶苦茶な力を赤髪の男は振るったのだ。

「あと三人……」

 不敵な笑みを浮かべる赤髪の男。まるで、ランツァ達を挑発するかのように。

 しかし、ランツァは赤髪の男を無視して、

「ウィリアムッ!!」

 漸く状況を受け止め、不安を抱えながらウィリアムのもとへ駆け寄る。

「大丈夫か、ウィリアム? 俺の声が聞こえたら返事をしてくれ!」

「う…………。ランツァ、か……? 悪い、意識が朦朧として……」

 ウィリアムが倒れた状態で少しだけ顔を上げ、かすれた声で応える。

 だが、彼の目の焦点は定まっていなかった。

 それに気づいたランツァは、胸に刺すような痛みを感じた。

「もう……無理にしゃべらなくていい。お前はゆっくり休め。後は俺達に任せていいから……」

「…………」

 ウィリアムは応えなかった。

 ランツァの言葉を理解できたのかどうかは、誰にもわからない。

 しかし、そのどちらであっても、ランツァがこれからすることは変わらない。

「ウィリアムを……頼む」

 ランツァのその台詞は、この状況を見て出てきた救護係の者達に向けられたもの。

 救護係の者達は、迅速にウィリアムを連れて去っていく。

 そして、ランツァが再び場内へと入り、

「おい、お前……」

 赤髪の男を指差して言い放つ。

「覚悟はできてんだろうな」

 その声は今までにないほど低く、言葉では言い表せないほどの怒りを感じさせたのだった。

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