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アンゲルス  作者: Leone
第三章 八高対抗戦
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第百四十六話 燃え盛る対抗心と怒りの炎

「随分とまあ、はっきり言ってくれるな……」

 ランツァは苦笑しながら、小さな声で呟いていた。

 ――この決勝戦、あんたらに勝ち目はない。

 そう言われた事に対して、ランツァは全く憤らなかった。あまりにも堂々と言われたせいなのか、妙に対抗心が燃え盛るだけで、怒りを撒き散らす事はなかったのだ。

 その対抗心を糧に、ランツァは現状でのフルパワーを解放する。

「少しだけ、お前と真剣勝負したくなってきたぜ」

 ボールを持つ右手を後方へ引き、一気に前方へと移動させる。

 まるでバットスイングをした時のような音が鳴り、ボールが投擲された。

 対する赤髪の男は決して臆する事なく、ただ迫り来るボールを注視していた。

 そして、何かを悟ったかのように目を閉じた。

 ――そう、目を閉じたのだ。

 迫り来るボールなど、まるで存在しないかのように。

 数瞬遅れて、今度は男の口が静かに開く。

「舐めやがって……」

 その直後、突き出された右手がボールを受け止めた。

「…………ッ!!」

 あまりにも容易く受け止められてしまったのを見て、ランツァは絶句してしまっていた。

 既に開かれていた男の瞳には、怒りの炎が燃え盛っている。

「おい……」

 低く、凄まじい怒りを含んだ声が、男の口から発せられる。

「真剣勝負がしたいんだろ? なのになぜ、本気でかかってこない……?」

 ランツァは暫し黙り込んでいた。どう返答すべきか、迷っていたからだ。

 嘘をつくべきか、真実を話すべきか――。

 おそらく、男はその真実を知っているのだろう。そう考えたランツァは、重たい口をゆっくりと開ける。

「本気でやれるわけがないだろ……」

 そう。本気――即ち翼の力を解放する事など、できるはずがないのだ。

 多くのギャラリーがいる、この場では。

「そうか……」

 そう呟いた男は、失望したような表情を浮かべていた。

「俺達の勝ち試合とはいえ、できれば本気で闘い合いたかったんだがな……」

 男は溜息をつき、ランツァ達に背を向ける。そのまま数歩ランツァ達から遠ざかり、再びこちらを振り向く。

「本望じゃないが、仕方ない。ちょっと手荒な方法で闘わせてもらうぜ」

 それを聞いたランツァの背中に、悪寒が走る。

 そして、赤髪の男が奇妙な言葉を口にする。

人体強化バーストウィレス間解放ムーディア――」

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