第百三十八話 ランツァ、大活躍!!
レリアがアウトになってしまい、残り四名となったランツァチーム。
対する相手チームの方は、残り一名。だが、残り一名だからといって、油断は決して許されない。レリアをアウトにさせるほどの実力をもっているのだから、当然だ。
「勝負はこれからみたいだな……」
そう呟いたのは、ランツァだ。
「ああ。俺はあいつを知らねえから、天使か悪魔のどちらかなんだろうな」
ランツァにだけ聞こえる小声で、ウィリアムが囁いた。
「いや……、あいつはそのどちらでもないな」
同じく小声で反論するランツァ。
「そうなのか? じゃあ科学側の能力者か……」
「おい」
不意に、レリアをアウトにした者の声が聞こえた。
その者は審判からボールを受け取ると、口の端を吊り上げて笑う。
「次のアウト者は、誰なんだろうなあ……」
直後、ウィリアムの体が後方に倒れた。
原因は――恐ろしい速度を誇る、奴のボール。
あまりの速さに、視認できても体が追いつかない。
「クソッ……」
ボールが当たった胸部に軽く手を当てながら、ウィリアムは外野へと移動していく。
「大丈夫か、ウィリアム?」
「ああ……」
「今度はこっちのターンみたいね」
と、外野にいるレリアが呟いた。
「ランツァ君」
ボールを拾ったティナが、ランツァにパスする。
「これでこの勝負、終わらせてやる……」
一発で決めるため、力を溜めるランツァ。
「……おもしれえ。来いよ、本気でな!」
そして――ランツァの容赦なきボールが放たれ、奴の体を押し倒した。
審判の笛が、体育館中に鳴り響く。
こうして、第一試合は終止符を打った。
勝者は、ランツァチーム。
最初から少々派手な試合だったが、ランツァの大活躍により終わったのだった。
ランツァ――三名アウト。
キリエ――一名アウト。
ウィリアム――一名アウト。
以上、ランツァチームの成績による。