第十三話 深まる謎
ランツァとウィリアムは、寮であの時のことについて語り合っていた。
「なあ、お前何か隠してないよな?」
と言ったのはウィリアム。
「ああ。俺もよくわからないんだ。すまないな……」
「大小操作って、何なんだ?」
「そのままの意味さ。物体の大小を変える。それは石を大きくすることであったり、普通の車をミニカーに小さくすることでもあったりする」
「俺も、お前みたいに能力が欲しいな……」
「悪魔がいるって知ったら、誰もがそう思うだろうよ」
それだ、とウィリアムは言う。
「ひょっとして、皆は悪魔がいるってこと知らないんじゃないか?」
「……一理あるな。実際、俺達は知らなかったわけだし」
まあ、とランツァは続ける。
「とりあえずは、黙っておいてくれないか。
俺の能力について……。公になったら、やっぱりまずそうだからな」
「ああ、わかってる」
こうして、とりあえず話は終了。
九月二日の今日は、土日ではないため、普通に授業があるのだ。だから、彼らは急いで準備をし、教室へと移動する。
やはり、クラスメイトからは妙な目で見られていた。
そして、一番問題なのが。
「えー、今一つ席が空いているのだが、彼はどうやら家の都合で転校することになったらしい。急な話だが」
と、巨人は言う。
だが、実際は違う。
にも拘らず、その言葉に嘘は全く感じられなかった。
(一体、どうなってやがる?)
そんなことを思っていると、やはりウィリアムも不思議に思ったらしく、手紙を回してきた。
そこには、こんなことが書かれていた。
「あれはおそらく嘘じゃない。それはわかっていると思うけど。でも、じゃあ何で巨人はあいつが死んだことを知らないんだ?」
そう。普通なら、あのままどうしていいかわからなかったし、放置してあの場を去ったのだから、気付かれて当たり前なのだ。
しかし、実際は気付かれていないようだった。
彼は考える。
(まだ裏の奴らがいるのか? だとしたら……)
天使。
それしか、思い浮かばなかった。
だから、そう手紙を返したのだ。
天使のせいじゃないか? と。