第百三十一話 八高対抗戦、開幕!!
三週間後――。
九月二十五日の九時半頃、遂に八高対抗戦が幕を開ける。
開催地はランツァ達が通っている学校だ。
その学校のグラウンドで、開会宣言や校長のお話などが終わると、ランツァ達はすぐに試合場である体育館へと向かう。
「いよいよって感じだな」
嬉しそうな笑顔を浮かべてそう言ったのは、ウィリアムだ。
「ああ。わくわくしてきたな」
同意するランツァ。
「うちの学校、私達以外にフェルムボール参加チームがなかったから、予選がない分、余計に楽しみよね」
と、キリエも高揚感を抑えられないといった様子だった。
「さてさて、どんな組み合わせになってんのかな~?」
そう言いながら、ウィリアムは対戦相手を確認するべく、一人で体育館の隅へと駆けていく。
そこにある掲示板に貼り出されている、数枚の紙。それらは全て、様々な競技のトーナメント表だ。
その中の一枚、フェルムボールのトーナメント表が、ウィリアムの目に留まる。
「お、あった」
「どうなんだ?」
と、ランツァがウィリアムに尋ねた。
「…………」
だが、ウィリアムは沈黙してランツァの問いに、すぐには答えなかった。
「どうしたんだよ、ウィリアム……?」
「私見てくる」
レリアがそう言い、ウィリアムの隣へと走って移動する。
そして――
「うっそ……ほんとに……?」
愕然と呟くレリアの表情には、喜びも存在しているように見えた。
「だから、どうしたんだよ?」
「私達の最初の試合……もうすぐ始まるらしいわよ」
…………え?
ランツァもレリアと同じく愕然とし、言葉を失っていた。しかし同時に、すぐに試合ができるという事に喜びを感じていた。
「第一試合、俺達と……」
ウィリアムがゆっくりと右腕を上げて、ある方向を指差して続きを言い放つ。
「筋肉モリモリのあいつらだ」
彼が指差した方向には、筋骨隆々の男五人組がいた。
ランツァは思う。――こりゃ、楽勝だな。