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アンゲルス  作者: Leone
第一章 ヒーローの帰還
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第十二話 石と炎

 ウィリアムのおかげで手に入れられた武器。それは、鋭利な石の剣だった。

「…………」

 互いに睨みあうランツァと悪魔。

 その時、悪魔の方が沈黙を破る。

「一つ聞く。てめえの能力は何だ?」

「今さらか。ま、教えておこうか。一応な……。俺の能力名は大小操作ビッグモールと言う」

大小操作ビッグモールか……。まあ、そんなことは見ていれば、大体想像がつくがな」

 ならば、と悪魔は続ける。

「俺の能力は一体何だろうか?」

 ふいに、問いかけられる。

「…………」

 だが、彼は答えられない。

「単に、炎だけではないことは教えておこう。それと、俺の悪魔名はバクだ」

「悪魔名?」

「まあ、俺の名前ってとこだな」

「……そうかよ」

 悪魔名は、普段の彼の名前とは異にしていた。おそらく、正体を隠す為に偽の名前を使っていたという事なのだろう。

「じゃあ、次だ。俺の能力、ちゃんと理解してないと、多分てめえには勝てないかもしれないなぁ!」

 その瞬間。

 バクの手から炎の剣が生成される。

 それは赤く輝き、鋭い刃を持つ。ついでに、高熱も有する。

「ぼさっとしてんなよ。ここからが本番だ」

 我に帰るランツァ。

 もし、何も言わずに斬りかかられたら、チェックメイトだっただろう。

「本気同士の闘いだ。楽しもうぜ、なぁ!」

 悪魔が地面を蹴る。すると、そこに亀裂が走った。

 そして、悪魔は恐ろしいスピードで突っ込んで来たのだ。

 ガッ、と互いの剣が交わる。

 だが、やはり炎の剣の方が有利だった。

 ランツァの石の剣を少しずつ融かしていたのだ。

「――!」

「終わりにしようぜ。ランツァァァァァァァァァァァ!」

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 ズドン、と。

 ドシュッ、という刺す音ではなく。

 叩きつけるような音が虚空に響く。

「…………」

 それをやったのは悪魔ではない。

 ランツァだった。

「ぐはっ……」

 悪魔は石の剣の下敷きになっている。

 つまり。

 さらに、巨大化させたということ。

 ただ、今までずっと不思議に思っていたが、全く重く感じないのだ。巨大化させても。

 その時、また音源不明の声が。

「それは、大小だけを操り、重量は変えないからだ」

 やはり、周囲を見回しても誰もいない。

「クソっ……」

 悪魔はそんな中でも、話しかけてきた。

「俺の負けか……。まさか、天使でも悪魔でもない奴にやられるとはな……。正直、驚かされた。はあ……。だが、楽しかったぞ。ランツァ……」

 ランツァは、悪魔の命の灯が潰えるのを感じた。

「バク……」

 たとえ相手が極悪の悪魔だとしても、ランツァにとって命を奪うということは、身の細る思いでしかない。

「ランツァ……」

 ウィリアムの声が聞こえた。

「やったな……」

 だが、その声には不安が混じっていた。

「…………」

 ランツァは顔を向けられない。

「心配するな。俺たちは生きているんだから」

「……そうだな」

 彼は夜空を見上げてそう言った。

 気付けばもう、真っ暗になっていた。

「とりあえず、寮に戻って休もう」

 ウィリアムは提案する。

「ああ。それが得策かもしれないな」

 こうして、闘いは終わりを告げた。

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