第十一話 謎
ランツァと悪魔の闘い。
その中で、気になる言葉がいくつか出てきた。
天使。
それは、一体どういった意味をもたらすのか。
他にも、たくさん気になったが、天使とは一体何者なのか……。
だが、それよりもウィリアムは気になることがあった。
それは、ランツァ。
彼は一体……。
そんな思いを無視して、闘いは続けられるのだった。
「オオオオオオオォォォォォ!」
すさまじい雄叫びを上げながら、悪魔は攻撃をしてきた。
炎を纏う拳で。
しかし、先ほどとは違う点があった。
それは、スピードが遅くないということ。
理由は、ランツァが疲れてきたのか、それとも、悪魔が本気を出したからなのか。ただし、どちらにしても危険なことには関わりないことではあるが。
「クソっ」
「どうした? 反応速度が落ちているぞ」
「…………」
このまま長期戦に持ち込むのは得策ではないようだ。
そう判断し、ランツァはどうしようかと考える。
「そんな無言の中で何考えてんのか知らねえけどよ、させるとでも思ってんのか?」
轟! と、炎が爆発する。
「ぐあっ!」
それと同時に、ランツァは吹き飛ばされる。
「ひゃはは。最高だ。実にいい。こういう楽しめる奴は久しぶりだ。普通、天使と巡り会えるなんてのは、中々ないからな」
「く……」
その時、ふと目に入る物があった。
それは、不自然なほどに鋭利な石。
(これなら……)
ランツァは早く決着をつけようと、石に手を伸ばしてしまった。
それこそが、最大の誤りかもしれないのに……。
「はっ! わかりやすっ。てめえの思考回路が手に取るようにわかるぜ」
その石は、悪魔の炎にボロボロにされてしまった。
「…………!」
非常にまずい。そう思った時には、時すでに遅し。
「がははははははははははははははは」
勝ち誇ったような笑い声。
対して、
「終わりだ……」
ランツァには絶望しかなかった。
「はははははははははは。いいよ、最高だ。恐怖。それは、この俺が最も好む感情。だから、もっともっと苦しめ。ひゃははははははははは」
「これを使え」
背後から声がした。
ウィリアム。
その手には、鋭利な石が握られていた。
「てめえ……!」
ウィリアムは、それをランツァに向かって投げる。
「サンキュー」
ランツァはそれを巨大化させ、剣のように振舞う。
「…………」
初めて、悪魔の表情にはっきりと、恐怖が浮かび上がる。
だが、
「武器を手にしたぐらいで、勝ち誇ったような表情をするとはな」
そして、
「思い上がるな! クズ野郎が!」
遂に、闘いは終盤へと向かう。