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アンゲルス  作者: Leone
第三章 八高対抗戦
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第百七話 転入生

 九月四日、午前八時半頃。

「今日は嬉しいニュースがあるぞ!」

 教室に入ってくるなり、急に教壇にある机を両手でドンと叩く担任教師。妙にハイテンションだな。

「このクラスに、転入生がやって来たぞ!」

 ……は? 転入生?

「さ、恥ずかしがらずに、教室へ入って自己紹介しなさい」

 担任は開けっ放しのドアの方を向いて、優しく促す。少しだけ間が空き、転入生が教室へ入ってくる。

 長く伸ばしている銀髪、大きな水色の瞳。肌の色は白く、その美貌はクラスの男子全員を惹きつけていた。

「ティナ・グレースです……。よろしくお願いします」

 緊張しながら自己紹介をするティナを見て、ますます惹かれていった者までいる。しかしその一方で、クラスの女子全員はつまらなさそうにしていた。重いため息をつく者もいる。

 そんな彼らに気付かぬフリをして、担任はティナに席を教える。

「君の席は、彼の右斜め後ろだよ」

 その時、担任がその「彼」に向かって指を差した。

「……え?」

 ランツァは驚愕の表情を浮かべていた。

 その「彼」が、ランツァだったのだ。

 直後、クラスの男子から向けられた怒りの視線。

 俺……何も悪い事してないよな……?

 そんな危機的状況にあるランツァを、唯一面白そうに見ている者がいた。

「クク……」

 笑いを堪えながら、ウィリアムが楽しそうに見ていたのだ。

「ったく、他人事だと思って……」

 誰にも聞こえないくらい小さな声で、ランツァは悪態をついた。

 少し気まずそうに、ティナが遅れて自分の席へと向かう。

 その途中、ランツァの前でティナが笑顔を浮かべて言う。

「急な話かもしれないですけど、よろしくお願いしますね」

 さらに、ティナはランツァの後ろの席に座っているレリアに対しても、同じように振る舞う。

「お隣同士、仲良くしてくださいね」

「レリアよ、よろしくね」

 レリアも笑顔で軽く自己紹介をした。

 そして漸く、ティナが席についた。


 この時、ランツァ達はまだ知らなかった。

 天使、悪魔、人間、その三勢力の戦争が、本格的になってしまう事を――。

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