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アンゲルス  作者: Leone
第二章 仮初めの敵
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第百四話 氷龍砲VS右手

 ソールに牙を剥く、氷龍砲グランス・グリッド。その攻撃を、ソールは右手だけで受け止めようとする。

「お前の攻撃、無に返してやろう」

 氷龍砲グランス・グリッドとソールの右手がぶつかり合う。青い稲妻のようなものが、氷龍砲グランス・グリッドから周囲にたくさん放たれる。何かを狙っているわけではない。それらは大地やあらゆる建築物に当たると、当たった場所を即座に凍りつかせていた。

「ちっ……、流石に奥義は時間がかかるか」

 一瞬だけソールの脳裏を、純白の翼の力を使うかどうかという事が過ぎった。

「……必要ないな」

 ソールは純白の翼を使わない事を選んだ。翼の力を使わずに勝つ事で、力の差をはっきりとさせるためなのだろうか。

「エレシス……、お前には落胆させられたよ……」

「……もう少し強いと思った、そういう事ですか……」

「ああ……。やっぱり、お前の攻撃は消さない事にする。奥義でも傷一つ付けられない事を、教えてやるよ」

 直後、轟音を立てながら、氷龍砲グランス・グリッドがソールを呑み込んだ。同時に、白い霧が皆の視界のほとんどを覆い尽くした。

 暫くして霧が晴れると、

「なっ……!!」

 ランツァは驚愕のあまり、息を呑んでいた。

 ソールが、半透明な氷の山の中に埋まっていたのだ。さらにどういうわけか、攻撃を直接受けていない地面やあらゆる建物の一部が、抉り取られていた。

「おい……、これって、まさかあれが……」

「そうです」

 エレシスが首肯した。

「まったく……。あんたが奥義を使えるなんてね……。ほんと、びっくりしたよ」

 レリアが呆れた様子で言った。

「ですが、ソールはまだ生きていますよ」

「当たり前よ。こんなんで死んだら、私達アンゲルスはかなり前から潰されていたわよ」

 当然だ、とキリエはそう言いながら、首を縦に振る。

「……今は敵だけどな……」

 厳しい現実というものを、ガルメラが呟いていた。

 その時、ソールを覆っていた氷の山が、粉々に砕け散った。

「残念だ……この程度とはな……。お前らを殺す気もなくなってしまうくらい、残念だ」

 ソールはそう言い、ランツァ達に背を向けた。

「火、水、氷、雷、地、風、光、闇、滅、生、吸、無……。これら十二属性それぞれの必殺技である、十二奥義ですら、俺に傷を負わせられない……。まったく、話にならん。修行して、もっと己を磨いてこい。そして……」

 そこでソールは一旦言葉を区切り、アザルドへ行くための真っ赤な扉を創った。

「この俺を、楽しませてくれ」

 ソールはぞっとするような笑みを残して、アザルドと繋がっている扉の中へと、入って行った。

 扉が閉まるとすぐに、その扉はだんだんと薄れていき、消滅した――。

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