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アンゲルス  作者: Leone
第二章 仮初めの敵
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第百三話 氷龍砲

「……一つ聞きたい」

 ランツァがソールを睨みながら、押し殺したような声で言った。

「てめえがアンゲルスに加わっていた理由を教えろ」

「アンゲルスに加わっていた理由か……。特に理由はないな。俺はただ、この戦争を面白くしたかっただけだからな。別に、アンゲルスに加わる必要があったわけじゃあない」

「……つまり、俺達を裏切って、その反応を楽しみたかった……そういう事か?」

「……ああ」

 ニヤリと笑みを浮かべるソール。

 その時、周囲の空気が一変した。比喩などではない。まるで、冷蔵庫の中にでもいるみたいだ。凄まじい冷気が、皆の肌を撫でているのだ。

「ソール……覚悟はいいですか?」

「何?」

 直後、エレシスがソールに向かって突進していた。エレシスは純白の翼を広げ、拳を握り締める。その拳は、ソールの顔面目掛けて真っ直ぐに放たれる。

 突然の不意打ちに、ソールは一瞬だけ対応するのが遅れる。

 しかし、それでもソールは間一髪でエレシスの攻撃を防ぐ事に成功する。右の掌で受け止めたソールが、地面に靴を擦らせながら一メートル程後退する。靴を擦らせたところのアスファルトが、黒く焦げている。

「卑怯だな、エレシスよ……」

「別に卑怯でも構いませんよ。僕は、昔からあなたが大嫌いだったんですから……。仲間に向かって命令ばかりしていた、あなたが……」

「だから何だ? 俺が嫌いだから、俺を殺すのか?」

「それもありますけど、他にも理由は山程ありますよ」

 エレシスがそう言った時、さらに気温が下がった。

 一体、何が――!?

「ソール、あなたにはここで死んでもらいます」

 エレシスの翼が、青白く輝き出した。

「十二奥義、其の参……」

 続いて、エレシスの右手も青白く輝き出す。翼の方の輝きとは比べ物にならないくらい、眩しい輝き――。

「十二奥義か……。いいだろう、来い。実力の差というものを教えてやる」

 ソールが右手を前に出す。――まさか、右手だけで受け止めるつもりなのか……!?

 それを見て、エレシスは笑っていた。勝利を確信しているような、そんな笑みを浮かべていた。

氷龍砲グランス・グリッド!!」

 直後、龍のシルエットをした氷が、大砲の如く、エレシスの右手から放たれた。

 気温は、軽々とマイナスの領域に足を踏み入れていた――。

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