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恋する二人は許されない ~敵国王子と化物王女の現世青春~【毎日更新】  作者: 雪林りん
シーズン3 ~かつて化物と呼ばれた君へ~
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TIPS 化物

 これは私見を元にした定義だが、この世界には3種類の化物が存在している。



 1つは単純に戦闘力が高く、『化物染みた人間』と呼ぶべき存在だ。該当する者としてグラシディア・アルドフッド、ゼロの幹部連中、メース・M・コンコルディアなどが挙げられる。少し特殊な例だが、ダウナ・ローティエンションもこちらの定義に含まれる可能性がある。

 彼らは化物と呼称されているだけで、実際は人間としての括りに含まれる。しかしその戦闘力は危険極まりなく、場合によっては国1つを悠々と滅ぼすほどの被害を及ぼすこともあるだろう。

 その戦闘力は、ほとんどが強大な魔力に依っている。莫大な魔力を持つ者が強大な魔法を行使し、結果的に化物と呼ばれるだけの力を手にしているのだ。一部例外はいるが、彼らを一纏めにすると『高出力の魔力を持つ人間』として括っても良いかもしれない。


 彼ら化物は、意外にも希少な存在ではない。アルドフッドのように突然変異的に強大な魔力を手にする例はあるが、それ以外の殆どは優秀な遺伝子の交配により長い年月をかけて作られている。

 例を挙げると――古来よりメース国では、魔力の高い者が王族の側室になるケースが散見される。魔力が高い者同士を掛け合わせると、産まれてくる子供が高い魔力を持つ可能性が高いのだ。メース・M・コンコルディアはその最たる例と言えよう。



 もう1つは動物と人間の脳を掛け合わせた『人造人間』である。該当する者としてベリアス・ワンチアン、カーニヴォラス・ワ=ムーなどが挙げられる。

 彼らは特異なる研究により、動物を素材として造られた肉体に、『化物』の脳を移植することによって作られるようだ。使用される『化物』とは前述の『魔力が非常に高い人間』のことである。(つまるところ、彼らも1つ目の定義と同義と言えるだろう)


 特徴として、素材に使用した動物の特徴を有することが挙げられる。例えばベリアス・ワンチアンでは嗅覚と夜目、カーニヴォラス・ワ=ムーは人肉嗜食だ。

 更にもう1つの特徴として、人間離れした身体能力が見受けられた。特にカーニヴォラス・ワ=ムーの例では今迄に類を見ない程の、極めて異常な身体能力が観測されている。

 こちらについては、製造過程によって失われる魔力の多寡に比例していると考えられているが、サンプルが少ないために仮設の域を出ない。(もしも上記2名以外の事例をご存じの方がいらっしゃいましたらご一報いただけますと幸いです)


 個人兵として優秀な彼らが量産されない理由は2点ある。1つは化物の脳が中々手に入らないこと。そしてもう1つが、化物としての魔力の大半が失われてしまうことだ。

 これは本来とは異なる肉体に移殖されたことによって、拒絶反応が起こり、魔力の出力に異常が生じているのだと考えられる。その代替能力として動物由来の特徴と身体能力を手にしているが、いずれも個人兵の粋を出ず、高品質な魔力を持つ化物として運用した方が良いと結論付ける者が多い。

 また、これは研究者の腕に依る問題だが、成功率が低いという問題も抱えている。その場合、無為に化物1名を失ってしまうのだから、リスクとリターンが釣り合っていない。そう考えると、死んだ化物の娘を利用する、というゼロのやり口が一番利口であることが分かるだろう。


 上記2種類は、(世界に数名と言えども)製造方法が確立している以上、さして稀有ではない。



 最後の1つは、『本当の化物』である。

 前述した『化物染みた人間』と比較しても圧倒的な魔力を有し、世界を破壊するさえ可能な正真正銘の化物だ。該当する者として、シロガラ・G・クロスエッジ、メース・M・ハルモニアの2名が挙げられる。


 1つ目の化物を広範囲殲滅兵器、2つ目の化物を強化兵として軍事兵器風の呼称を付けた場合、彼ら2名に付けるべき名称は世界毀損兵器と呼べるだろう。

 彼らに関しての情報は多くない。シロガラ国とメース国で秘密裏に研究され、同時にその努力が結実したとの噂だが、そんなものを信じる輩などこの上ない阿呆でしかないだろう。とにかく彼らの出自は隠蔽され続けているのだ。

 無論、魔力が高いシロガラ家とメース家の末裔ならば、それなりの魔力を持った子供が生まれるのも頷ける。しかし彼らはその範疇すら超え、この世の理すら無視するほどの力を有している。

 彼らはどのようにして製造されたのだろうか?


 現在、その情報を探るべく、シロガラ国とメース国へ潜入する間者を募集中です。募集要項は西門前の掲示板に2週間後の正午まで掲載しておりますので、皆様奮ってご参加ください。

 尚、無許可で掲示されていた『第1回芋集会のお知らせ』につきましては、本国の安全基準を満たしていないとして中止となりました。責任者は至急フォゴ・アグーリ副総統の元へ出頭してください。芋煮集会で使用される予定の芋につきましては、食堂にて再利用いたします。

 以下は食堂勤務のメィシ・マズリからのコメントになります。『大量の芋を入手したので、来週の水曜日は芋フェスティバルを開催いたします。食堂前にアンケート用紙を設置しましたので、皆様の考える芋料理のレシピをご記載ください』。

 以上。


    ――――中立国家 資料XX-05

        内部資料の為、外部への持ち出しを禁ズ

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