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旅先の出来事

アテネのタクシーでぼったくられそうになった話

掲載日:2025/09/12

 友人と二人、アテネの空港に着いてバス乗り場に行くと《ストライキ》の札が出ていた。

 ショック!

 呆然と立ちつくしているとタクシーの運転手が寄ってきた。超緊縮予算なのに初めから散財なんてしたくない、他に手はないのか? と、とりあえず断った。

 しかし、空港から街まで歩くなんて無理だし、どうやら他に手はないらしい。

 さっきとは別の運転手がやってきた。街の中心部にあたるシンタグマ広場までの大体の料金を()いてみる。が、返ってきた答えは

「メーターがあるから大丈夫」だった。

 メーターを倒さずに客を乗せて、法外な料金をふんだくる悪徳タクシーの話は聞いていた。でも、やっぱり気になるので大まかでいいから教えてくれ、と言っても

「心配ない。ちゃんとメーター通りの料金しか貰わないから」の一点張り。

 ガイドブックによれば八百~千ドラクマ。まあ、仕方がないか、とそのタクシーに乗った。

 運転しながらガイドをしてくれる。結構いい人じゃん、なんて思い始めていたら「アクロポリスを一周してからプラカへ行かないか?」 ときた。そんなお金ないよー。

 安宿が多いというプラカ地区へ到着。メーターの数字は[800.0]。アテネのタクシーメーターには小数点がついているのがあるって聞いていなければちょっと悩んだかも。でも事前情報通りの料金でよかった、と千ドラクマ札を差し出したら

「これじゃ足りない。メーターを見ろ、八千ドラクマだ!」

 小数点がついているメーターだから、と考えて千ドラクマ札を出した。そう、ちゃんと考えて、正しいと認識してした行動だったの。

 でもね、着いたばかりの異国の地で初めて乗ったタクシーで、慣れない英語で、男の人に、高圧的に文句を言われたんです。

 つい反射的に千ドラクマ札を引っ込めて一万ドラクマ札を渡してしまった事を責めないで欲しい。

 でも、一万ドラクマ札が自分の手から離れた瞬間、我に返った。

 え?! ちょっと待って! 八千?

 そんなバカな事があるもんか。一瞬まっ白になった脳内に活を入れて

「八千じゃない、八百だ!」と英語で叫ぶ。

「メーターの最後のゼロの前についている点がコンマだって知ってるよ。八百ドラクマが正しい」

 パニクった頭とつたない英語でなんとか頑張る。色々言い募る。でも

「いいや、八千だ」と運転手。

 外人の女の子二人なんて簡単に言いくるめられると思われてる。でも、ここで負けると一日分の滞在費以上が吹っ飛んでしまう。バスに乗れなかっただけでも痛手なのに。

 ぜっっったい、負ける訳にはいかない! 

 確かアテネには旅行者がトラブルにあった時に頼れる機関があったはず

「ツーリストポリスへ行こう」と言うと

「文句あるんなら、このまま空港に引き返すか?」ときた。

「結構。引き返してもらおうじゃないの」

「なら、ここで降りろ」

「空港で降りるからお金返して」

 とすったもんだしてたら千ドラクマ札を一枚だけ返してきた。

 後ろめたい事をしている証拠じゃない。負けるもんかーっと粘ったら、更に千ドラクマ札が一枚返ってきた。

 そうやって1枚ずつ、7枚まで取り返した。

「あと2枚、返しなさい!」

「冗談じゃない、これは八千だ」とメーターを示す運転手。

「ホントに八千ならどうして七千返したの? やっぱりツーリストポリスに行こう」

「あー行ってくれ」と我々を降ろそうとする。

「いっしょに行かなきゃ意味ないじゃない」と言うと

「これを持っていけ」と名刺を差し出す。

 何とかしてタクシーを降ろそうとする運転手と更に激しい口論の末、残り二千を取り返した。

 ゼーゼー……。

 やった! 勝った!

 残り二百は……もういいや。こんなのにチップを渡すなんて癪だけど、普通にタクシーに乗ってチップを渡したと思おう。

 私と友人の南欧旅行はこんなトラブルから始まった。


 当時(いち)ドラクマ九十銭しなかった。両替した日によっては八十二銭とか。

 ちなみにこの日の宿は荷物抱えてうろついていた時に声をかけてきた、玄関先に置いた椅子に座って新聞を読んでいたおじさんの所。二人で1泊二千五百ドラクマ。

 この日買ったミネラルウォーター一・五リットルが百ドラクマ。


 1991年3月の話。

 同行の友人が、まるで他人事のようにぼうっとしてて、まったく戦力にならなかったのが辛かった。まあ、その後の旅行中も彼女は英語の会話にはまったく参加してくれなかったんだけど。




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