2人の希望
「ここでお前を殺す。」
ルシアンがブリュンヒルデを指差した。
「聖炎神核」
ブリュンヒルデの体に炎が纏い、辺りの雪が解け始める。
「私は光の騎士団団長・ブリュンヒルデ。」
ブリュンヒルデはルシアンの近くに歩きながら話す。
「人々の未来を護るため、ルシアン参謀長。」
ルシアンの喉元に槍を向ける。
「ここであなたを討つ。」
ブリュンヒルデの槍は美しく光を反射し、ルシアンを照らす。
「電光石火」
ルシアンは雷となり、ブリュンヒルデの後ろに回る。
ルシアンの体が現れた瞬間。ブリュンヒルデは大きなため息をついた。
その瞬間、ルシアンの場所とブリュンヒルデの場所が入れ替わり、ルシアンの体には槍が突き刺さっていた。
ルシアンは目を見開き、血を吐いた。
「これが私の神髄、形勢逆転。私の力を把握していなかったのか?」
ブリュンヒルデは槍を引き抜いた。
「私を舐めすぎだ。ルシアン参謀長。」
ルシアンは膝を地面に落とした。
「…そうだな。君を少し舐めていたかもしれない。」
ルシアンは上を見て狂ったように微笑んだ。
「俺はルシアン。この国で一番権力を持っている男だ!!」
ルシアンは急に冷静になったようにレオナール総帥を眺めた。
「いや、まだ俺じゃない。」
ルシアンは電気となり、レオナール総帥の目の前に移動する。
「私の神髄を忘れたか?形勢逆転」
ルシアンがレオナール総帥の目の前に現れた瞬間、ブリュンヒルデとルシアンの場所が入れ替わった。
入れ替わった瞬間、ルシアンは不敵な笑みを浮かべ、勝利を確信した。
場所が変わり、埋蔵金がある部屋に戻ってきた。
「千年呪縛」
ルシアンが唱えるとレオナール総帥とブリュンヒルデの体に黒く、禍々しい鎖が絡みつき動きを封じた。
「これは…」
レオナール総帥は今、何が起こっているのかすぐに把握した。
「この鎖に繋がれると魔法が一切使えなくなる。もちろん神髄もね。」
ルシアンは子供のような顔をしながら革命軍の埋蔵金に手を伸ばす。
「やめろ!!ルシアン!!」
レオナール総帥が叫んでもルシアンは止まらない。
ルシアンが箱を手に取った瞬間、ルシアンはどこかへ消えた。
レオナールは絶望した表情をして1人話す。
「終わりだな。この国は...」
ブリュンヒルデはレオナールを鼓舞すかのように話す。
「まだ終わりじゃないですよ。総帥殿。」
レオナールは沈んだ目でブリュンヒルデを眺める
「きっとオーレリアとリュカスが助けに来てくれる!!そうでしょう?総帥殿。」
レオナールはオーレリア、リュカス、ブリュンヒルデと共に過ごした4日間を思い出し、答えた。
「そうだな。あの2人ならきっとこの国を救ってくれる。」
その後、レオナール総帥とブリュンヒルデは鎖に力を吸われ、気絶した。
だが、その顔は苦しみの表情ではなく、希望に満ちた表情をして、また2人に会える日をじっと待っている。