心の奥深く
「光道玉!!」
「雷速矢」
マナカの放った魔法は私の魔法を打ち消し、直進する。
「電光石火」
マナカは青白く光る雷となりリュカスの目の前に現れる。
「やぁ、こんにちは。僕の名前はマナカ。よろしく。」
!?
こいつ…いつの間に…
「水刃波」
マナカはヒョイっと魔法を避ける。
いまだ!
「水龍!!」
「あ、やば。」
水の龍はマナカの体をかみ砕く。
「うぐ…」
マナカは苦しそうな顔をしてその場に倒れる。
「痛いよう…骨逝っちゃったよう…ゴホッガハッ。」
マナカは苦しそうに血を吐く。
「なかなかやるね、うぐ…君。」
マナカは少しずつ立ち上がる。
「降参しろ。お前はもう勝てない。」
リュカスはマナカを見下ろしながら言った。
「いや…勝つのは…僕だ。」
マナカはおなかを抱えながら立ち上がる。
そして、リュカスを指差す。
「僕は君を3秒で殺す。」
リュカスはその言葉を聞いた瞬間素早く身構える。
「時間圧縮」
「ガハッ!?」
マナカは突如目の前から消えた。
そしてリュカスの腹に強烈な痛みが走った。
「なん…グワハッ」
次に背中に鈍い音が鳴り、強烈な痛みがリュカスを襲った。
その後もリュカスは何もできずに唯々痛めつけられていた。
リュカスは何度も倒れそうになるがそのたびに倒れるのを阻止するかの如く攻撃が飛んでくる。
3秒経ったのか、マナカが攻撃をやめ、姿を現す。
マナカの体はリュカスの血でびしょびしょに濡れていた。
「死んだ…かな…」
バタッ
マナカが話した瞬間、リュカスは地面に倒れた。
リュカスの体はところどころ骨が露出し、変な方向に曲がっている。
「はぁ~…キツイ…僕も…死んじゃうよ…」
マナカはその場にしゃがみこんだ。
その光景をオーレリアは唯々見ることしかできなかった。
オーレリアの目には恐怖と絶望が宿っていた。
「死ぬ。私も、死ぬ。リュカスみたいに、死ぬ。私も。」
オーレリアは何も考えられなくなった。
リュカスの死に泣きじゃくることもなく。唯々自分の死を想像していた。
「もう少し…頑張るか...」
マナカは立ち上がり。オーレリアの目の前に歩いて行った。
「君、大丈夫?」
マナカはオーレリアを殺すために近づいたハズなのに、無意識にオーレリアをなだめる。
マナカも自分が何をしているのか、何を思ってなだめているのか分からなかった。
だが、マナカの言葉はオーレリアには聞こえてはいない。
「死ぬ。嫌だ。死にたくない。助けて。誰でもいい。早く。助けて。死んじゃう。私。」
「大丈夫だよ。誰も君のことは殺さないよ。だから、安心して。」
マナカは頭ではオーレリアを殺そうとしているが、体ではオーレリアを助けようと必死になっている。
なんで僕はこの子を助けようとしてるんだ?
マナカは何も分からないままだった。
「雷虎、戦うのは止めだ。」
マナカが小さな声で言うと、雷虎はマナカの隣へ行き、姿を消した。
炬怒羅はオーレリアの元へ向かうとマナカが話す。
「この子を、助けてやってくれ…」
「は?」
炬怒羅はその言葉が理解できなかった。
当然だ。さっきまで自分たちを殺そうとしてきた人が真逆のことを急に言ってきたのだから。
マナカは後ろを向き、この場を後にする。
「大丈夫か!?オーレリア!!」
「リュカス…」
炬怒羅はリュカスのほうを見た。
リュカス!!やばい、このままだと死ぬぞ。いや、もう死んでるかもしれない。
ダメだ!!諦めるな!!俺!!2人を守るってブリュンヒルデ様と約束したんだ!!
「聖生炎、リュカス!死ぬなよ!!」
「見つけたぞ!!」
レオナール総帥が叫んだ。
「たぶん…いや、これが革命軍の埋蔵金だ!!」
ブリュンヒルデが反応する。
「これが…」
トントン
なんだ!?
レオナール総帥とブリュンヒルデはとっさに身構える。
「失礼するよ」
後ろのドアが開いた。
「ルシアン…」
レオナール総帥は驚いた顔をしてルシアンを眺める。
ルシアンがレオナールに向かって歩くとブリュンヒルデが槍をルシアンに向ける。
「動くな。なぜここにいる。」
ルシアンは、飄々とした態度で答える。
「ちょっとした”兄弟喧嘩”だよ。」