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「オーレリア、もう起きる時間だぜ。」


リュカスの声がする...

正直、起きたくない...

昨日、ひどいことをリュカスに言ってしまったから。


「毛布の中入っちゃうぞ~」


リュカスは変な声で言った。


リュカスはそんなことしない...よね...(まぁダスクヒルの時は同じベッドで寝たけど。)


あれ?でもなんで私毛布なんか掛けてるの?

ヒル姉が掛けてくれたのかな?


「オーレリアー、ホントに入っちゃうぞー。嘘じゃないからなー。それ以上寝るってんなら、覚悟しろよー。」


私にはそんな覚悟はないけど起きなかった。


「きゃ!?」


リュカスが私の上に乗っかってきた。


「あ、起きたじゃん。おはよー」


「・・・・」


「無視しないでよ~あやまるからさ~」


私は上に乗っかられたから話さないんじゃない、リュカスになんて言葉を話せばいいのか分からなかった。リュカスは何も悪くない。


「昨日は...ごめん...」


私は布団に包まりながらあやまった。


「気にすんなよ。昨日はちゃんとオーレリアの気持ちが分からなかった俺のせいだ。」


私は頭も布団の中に入れる。


「起きたんだから早く布団から出ろ!!」


「出たくない。」


「どうして?」


「・・・・」


「無視すんな!!」


出れるわけない...

恥ずかしいもん。

泣いてる姿見られるのは...


オーレリアは母親の中にいる赤ちゃんのような体勢でいっぱい泣いている。

だが泣いていることを知らないリュカスは強行手段を使う。


毛布奪ってやる。

ひょいっと


「あ」


「あ」


リュカスが私の毛布を取った。

泣いてる姿見られた...


え?なんで泣いてるの?

やっぱ昨日のことかな?

ヤバい、あやまらなくちゃ。


「オーレリア、ごめん」


俺は勢いよく頭を下げた。


「なんでもする!!なんでもするから許して!!」


リュカスが急に謝ってきた。

私はリュカスに泣かされた訳ではないのに。


「リュカス...」


リュカスの名前言ったらさらに涙が出てきた。

実質リュカスに泣かされた。


「えッ、えッ?なんでまた泣くの!?」


私は全部リュカスのせいにすると決めた。


「全部、リュカスのせいだから。」


私はあふれる涙を手で拭いながらリュカスのせいにした。


「え、あ、うん...あの、何でも言うこと聞くから...」


リュカスは困ったような顔で、慌てた声で懇願した。


私は一言だけリュカスに言った。


「慰めて...」


リュカスは最初困ったような顔をしていた。

リュカスの頭には何も浮かばなかった。

どうやって慰めればいいのか。

なんて声を掛ければいいのか。


分からないリュカスはただただオーレリアの頭を撫で続けた。


やがてオーレリアの体の震えは収まり、涙も止まった。

次第に冷静になったのかオーレリアは頬を赤らめた。


「あ...ありがとう...」


「お...おう」


リュカスは少しオーレリアから目をそらし話す。


「ヒル姉と総帥様はもう探し始めてるから早く行こうぜ。」


私は、もう少しこのままでいたかったけれど...


「ほら、行くぞ!」


リュカスは私の手をギュッと握り、勢いよく走り出した。


私はその手をギュッと握り返し、ゴートヒルズへと走っていった。




「おーい二人ともー!!こっちだよー!」


ヒル姉の声がする。

ヒル姉にも謝らなくちゃ...


私はリュカスとヒル姉の前まで走っていった。


「昨日はごめんなさい。」


私は勢いよく頭を下げた。


ヒル姉は優しく笑った。


「オーレリアが謝ることはないよ!悪いのは手伝ってもらってるのに質問の一つも答えられない私だ。」


そう言ってヒル姉は私の頭を撫でた。


ヒル姉の優しい声を聴くとやっぱり安心する。

それにヒル姉の手はリュカスと違って凄い優しい感じがする。(リュカスが撫でてくれたのも優しい感じが沢山伝わってきたけど、焦ってるのか少し雑だった。それでも嬉しいけどね。)


そしてヒル姉は家の中を指差した。


「この家の中に隠し通路が見つかったんだ。もう総帥殿が隠し通路を進んでいる。私たちも早く追いかけるよ!」


そう言ってヒル姉は家の中の隠し通路へと入っていった。

そのあとを私とリュカスがついて行く。


隠し通路は真っ暗で近くにいるヒル姉の顔がほんの少ししか見えない。


ヒル姉が振り返り。


「オーレリア、修行の成果見せてくれない?」


私は大きく返事をする。


「はい!!魔石開放(マギアリベレイション)導標光(ルクスシグナ)


私が唱えると隠し通路に何個もの光が現れ、通路の奥まで見えるようになった。


「すげえ。」


リュカスが私の魔法を見てつぶやいた。


「すごいでしょ!!」


私は自信たっぷりに二人に向かって言った。


「さすが、私の弟子だね!」


ガザガザッ


ん?何か聞こえた...気がする。

でも二人は何もなさそうに歩いている。

私の聞き間違いか。




何事もなく私達は通路を抜けた。


「うわあ。」


思わず声が出た。


地下とは思えないほどの建物がそびえたっていた。


「これが...革命軍の本拠地...」


ヒル姉は驚いたような顔をして建物を見上げる。

リュカスは...え?リュカス?


私は周りを見渡した。けどリュカスの姿はなかった。


「ヒル姉!!」


私は叫んだ


「どうした!?」


「リュカスがいない!!」


ヒル姉はすぐにリュカスの状態を察し魔法を放つ。


魔石開放(マギアリベレイション)!、命灯(いのちのともしび)。」


私の左胸が温かい炎に包まれる。


この魔法は何なのかヒル姉に聞く。


「これは?」


「これは応急処置だ!もしリュカスが命の危険な状態になっていてもこの炎が燃え続く限り生きていられる。」


「でも...なんで私まで?」


「オーレリアも何者かに攻撃されるかもしれない。周りをよく見るんだ。」


私はヒル姉の言われた通り、周りを見る。


ポタッ


頭の上から何かが垂れてきた。

上を見上げようとする瞬間ヒル姉の叫び声が聞こえた。


「後ろだ!!オーレリア!!」


私はすぐに後ろに振り向き、魔法を放つ。


光道玉(ルミナスオーブ)!!」


私の放った光の玉は何者かの腹をえぐった。


「ガハッ!?」


「リュカスはどこにやった!!」


ヒル姉は鬼のような顔をして謎の男に詰め寄った。


男は不気味にも上を指差す。


私とヒル姉は同時に自分達の真上を見上げた。


「リュカス...リュカス!!」


天井には体中傷だらけのリュカスが縄で吊るされていた。

リュカスの額から血が垂れ、わずかに揺れている。


「リュカス!!ねぇ起きてよ!!」


私はパニックになりリュカスを呼ぶことしかできなくなった。


「大丈夫だオーレリア、落ち着いて。」


私はヒル姉の声が聞こえても冷静になることができなかった。


「リュカス!リュカス!起きてよ!!」


「リュカスには命灯(いのちのともしび)が付いてる。だから大丈夫だよ。」


ヒル姉は私を腕の中に抱きいれた。


「落ち着いて、オーレリア。私が絶対リュカスを助けるからね。」


謎の男はオーレリアの顔を見て、何か成し遂げたかのように叫んだ。


「あぁ~。これだよ!!これ!!まだ純粋な子供が絶望で顔をゆがませるこの瞬間!!たまら…」


グサッ!!


謎の男の頭に美しい槍が突き刺さった。


「見ちゃだめだよ。オーレリア。」


そう言うとブリュンヒルデはオーレリアをそっと気絶させた。


ブリュンヒルデは謎の男に刺さった槍を抜き、高くジャンプし、リュカスを吊るしている縄を切る。


聖生炎(せいしょうえん)


ブリュンヒルデが唱えるとリュカスの体に聖なる炎が優しく覆う。


すまない。2人とも。私は総帥殿を探さなくちゃいけない。


炬怒羅(コドラ)


槍にはまっている魔石(マギア)から小さいドラゴンがピョコンっと出てくる。


炬怒羅(コドラ)、この子達を守ってやってくれ。」


炬怒羅(コドラ)はオーレリアとリュカスを見つめる。


「俺に任せて!」


元気よく答えた。


「それじゃあよろしく頼む!」


ブリュンヒルデは、そう言って、建物の中へと進んで行く。

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