レオナール総帥
私たちは丘の上から周りを見渡していた。
「見えたね。あそこがゴートヒルズだよ。」
そう言ってヒル姉は丘の下を指さす。
そこには崩れた家が何個も並んでいた。
「ここが...ゴートヒルズ...」
私は唾を飲みこんだ。
草は枯れ、生物もいない。
まるで別の世界を見ているようだった。
「なぁ、オーレリア...本当にこんな所に宝は眠っているのか?」
リュカスが不安そうに私に問いかける。
「たぶん...」
私も不安そうに答える。
少し怖くなってきた。
もし、お宝探しているときに人のしたいとかが出てきたら...
背筋がゾッとした。
「そんなの、探してみなくちゃ分からないよ!だからそんな不安そうな顔しないで。2人とも。」
ヒル姉が優しい声で私たちを慰める。
ヒル姉の声を聴くと安心する。
私は顔を上げ、大きく深呼吸した。
「よし!行こう!2人とも!!」
そう言って私たちは丘を降り、ゴートヒルズの大地を踏んだ。
ゴートヒルズの崩壊している家の近くに一人の男が立っていた。
「やっと来たか。ブリュンヒルデ。」
ヒル姉は声を掛けられた瞬間男に向かって膝をついた。
「総帥殿、遅れてしまって申し訳ございません。」
「その子達を守っていたんだろう。光の騎士団の団長として当然なことをしていたのだから気にするな。」
総帥?総帥ってこの国の偉い人じゃん。
何してる人かは知らないけど...
総帥は私たちのほうを指差しながら
「でも、なんで子供たちをこんなところまで連れてきたんだ?」
ヒル姉は笑顔を見せながら答えた。
「この子達は、宝探しの旅をしている”トレジャーハンター”なんですよ!」
総帥は笑顔を見せながら私とリュカスに向かって話す。
「かっこいいじゃないか!そうだ。突然だが、私達の仕事の手伝いをしてくれないか?」
仕事?仕事ってヒル姉が前に言っていた仕事と同じかな?
リュカスが目を光らせながら話した。
「いいんですか!!総帥様の仕事のお手伝いができるなんて光栄です!!」
「あぁ。トレジャーハンターの君達にはぴったりの仕事だ。2人ともこっち来てくれるか?」
私とリュカスはそそくさと総帥さんの近くに歩いて行った。
総帥さんは私達に手を伸ばしながら言った。
「私と君達の信頼の証としてこれをあげよう。」
私の首には綺麗なネックレスが首に掛けられ。
リュカスの腕には綺麗なブレスレットがつけられた。
総帥さんからもらったネックレスとブレスレットの真ん中には綺麗に光る宝石がはまっていた。
リュカスが何か気づいたように総帥さんに聞いた。
「もしかしてこの真ん中にはまっている宝石って...」
総帥がニコッとしながら。
「魔石だよ。光属性のね。」
私は勝手に声が出ていた。
「やったー!!・・・あ。」
叫んじゃった恥ずかし。
「喜んでもらえたようでよかったよ。それじゃ今日の仕事の話をするからね。」
そう言うと総帥さんは真剣な眼差しをしながら説明に入る。
「このゴートヒルズという村には革命軍の埋蔵金が眠っていると前々から言われていたんだが。最近それが確定するような情報が入った。私達の仕事は革命軍の埋蔵金を見つけ出し、埋蔵金の悪用を防ぐことだ。2人とも手伝ってくれるか?」
私は今、すごいドキドキしている。
宝の地図以外にもおこの場所に宝が眠っていると知って。
「あ、あの~総帥さん?」
私は総帥さんに弱腰で聞いた。
「見つけた埋蔵金のことなんですけど...ほんのちょっとでいいんです。ほんのちょっと分けてもらえませんかね~?」
総帥さんは大きな声で笑った。
「最初からそのつもりだよ。まだ私の名前教えてなかったね、私の名前はレオナール。」
私は元気よく答えた。
「私はオーレリアです。」
リュカスは少し緊張していて、ちょっとブルブルした声で答えた。
「俺は、り、リュカスです。」
総帥さんは拳を空にあげながら話した。
「オーレリア、リュカス、それじゃ、宝探し開始だ!!」
「オォーーー!!」
私とリュカスも勢いよく拳を空にかがけた。
私はヒル姉と一緒に埋蔵金を探していた。
「ねぇヒル姉。」
「ん?」
「魔石ってどうやって使うの?」
ヒル姉は立ち上がり、腰に手を当て答えた。
「そっか、オーレリアは魔石を使ったことがないのか。」
ヒル姉は私に手を伸ばす。
「いい機会だ、教えてあげるよ。」
私はヒル姉の手を握り立ち上がる。
「最初にこう唱えるんだ。魔石開放」
ヒル姉がそう唱えると背中にくっ付いている槍の魔石が優しい光を発する。
「こう唱えると魔石が反応して魔力を発するようになるんだ。でも一部の人は口で唱えなくても頭の中で唱えるだけで魔石が使えるんだ。まぁそんな人は私は1人しか会ったことがないけどね。」
私はネックレスを握り、唱える。
「魔石開放!」
唱えた瞬間私の魔石はピカピカと光だした。
「できた!!」
ヒル姉は私を見て話す。
「魔石を使うにはもう一つ工程が必要だ。マギアの力をどうやって使うのか頭の中で思い浮かばせ、技の名前を口で発する。」
ヒル姉は向こうの折れている木に向かって指を指した。
「あそこに向かって光の玉を飛ばすイメージで光道玉って唱えてみて。」
私は折れた木に向かって、手を伸ばし唱えた。
「光道玉!!」
唱えた瞬間私の手の平から小さなピカピカ光る玉がポンと出てきてゆっくりな速度で木に向かって動く。
「でた!!でもちょっと遅すぎるし、ちっちゃいよ。」
ヒル姉は自分の子供を見つめるような優しい目で私を見つめていた。
「最初はみんなそのぐらいだよ!」(私が初めて使ったときはヤバいことになっちゃったけどね)
「今日の捜索は総帥殿達に任せて私達は魔石の練習をしよっか。」
「いいの?」
「魔石は持ってるだけじゃ意味ないからね。きっと総帥殿も許してくれるさ。」
やっぱり、ヒル姉はかっこいい。
私もヒル姉みたいになりたいな。そう思いながら私は勢いよく答えた。
「いっぱい修行するぞー!!」
「リュカス、なぜこんなところにおるのだ?」
総帥様は不思議そうに俺に問いかける。
「親父に旅に出ろって言われたんです。世界を見てこいって。」
総帥様はリュカスの頭を撫でながら笑う。
「ラグナスもずいぶん偉いことを言うようになったな~。」
総帥様に頭撫でられてる!!あの英雄レオナールに!!
「革命軍の埋蔵金を見つけ、君達の言う宝も見つけたら一度家に帰るといい。きっとラグナスは驚いて腰を抜かすぞ!」
「本当ですか!!」
総帥様にこんなこと言われるなんて。まるで夢でも見ているみたいだ。
気づいたら夜になっていた。
私たちは丘の上で野宿することになった。
「やっぱそう簡単には見つからないな~」
総帥さんが私の作った料理を食べて言った。
「明日こそは見つけて見せます!!」
リュカスは総帥さんに向かって叫ぶ。
「いや見つけるのはこの私だ!!」
総帥さんはリュカスに向かって叫ぶ。
この2人、ずいぶんと仲良くなっている。
パット見2人の性格はよく似ているし。
総帥さんは厳格な感じがありながらもその奥には笑顔があり、ユーモアがある。
リュカスは、、、ずっと笑顔で、、、単純...
やっぱあんま似てないかも。
でも分かる。私はあんまり人との関わりは多くなかったけどこの2人はきっと...
私はいっぱい魔法の練習をしたからか突然強い眠気に襲われ、木によっかかりながら眠った。