プロローグ 連と伊織
そう今でもドキドキする。昔を思い出す度、胸の鼓動が強く打ち続ける。
クリスマスのこの日、生田連は恋人である葦岡伊織の帰りを待っていた。伊織とは高校入学から知り合い、連が陸上部に入ったあとに伊織がマネジャーとして入部して来た。 2年前のクリスマス、告白したあの日から僕の運命は変わった。 恋に臆病だった僕は初めて人を好きになった。彼女を守ってあげたいと思うようになった。高嶺の花だった彼女とこうして付き会えるのは正直今でも信じられない。そうこう考えていると 伊織から「今日は遅くなるから、先にケーキ食べておいて」とメールが来た。伊織はお菓子屋さんで働いている。将来お店を出したいと言っていた。 連は冷蔵庫の中に入っているケーキに手を伸ばした。お皿の上に折りたたんだ紙があったその内容に連は驚いた。そこには、連に対する伊織の想いが込められていた。