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第3話試練の始まり

お久しぶりですね。もう2週間たってしまってごめんなさい。私生活が忙しくて遅れました。

鳥居を潜ると直ぐにそこが自分の居た世界では無いのを理解した。ただ鳥居をくぐっただけで別世界に来たような気分だ。空気の濃密さ、嫌でもわかる強い気配、植物の存在感と月の光による自然の美しさ全てがこの世のものでなくまるで生きているかのようなそんな感じさえした。

森は静かだけど何か騒がしい気がした。一切の音なんてないはずなのにだ。

他の人たちよりも出遅れて入ったために周りには誰もおらず誰かに話しかけようとしても既に1人になっていたのだ。

月華は目の前に広がる光景を飲み込みながら深呼吸をして集中をする。月華はその際に目を1度閉じ思案する。


(私自身に妖を倒すほどの実力はない。けどある程度は倒さないと生き残っても結局はあの人たちのことだし…)


月華の両親は才能のない月華を既に見捨てており、家の恥になるのなら殺そうとさえ思っている程だ。月華自身夜にたまたま父と母の話し声を聞いてしまった日から既に両親から愛されることを諦めてしまっていたのだ。死ぬにしても生きるにしても最低限はここで点数を取らないといけない。

月華は閉じた目を開けて前を見据えた。そして試練の地への本当の意味での最初の1歩を踏み出した。

森に入口というような道はなく大きな木がたくさんあるだけで適当な隙間から森の中へと入った。森の中へ入ったことで気づくことが出来るのだかどうやら森の外側にある樹木は異様に大きいようで壁のようになっている。しかし人間程度ならギリギリ入れるようでまるで大きなものを外に出さないようにしているようだった。中の木々は壁木?よりは小さくとも結構な大きさをしており壁木の3分の1程の大きさだ。それでも木々は月華よりもはるかに高かった。

月華は森を歩く中暗い時のために準備をしていたのだが森の中は何故か木々の隙間から照らす月の光が強くなっていてわざわざそのようなことをする必要がなかった。何とも幻想的な場所だ。

月華は森に心が奪われていた。今までで見る物の中で1番と言えるものだろう。それは魔の魅力なのかこの場所自体なのかは分からないが。

そんな森を歩くこと数分した頃だろうか。余り変わることの無い景色の中で突然何かが月華の瞳に映ったことで彼女の心を現実へと引き戻した。

月華の目の前に姿を見せたのは体は巨大な蜘蛛のようで頭は牛のような姿をした化け物だった。月華は突然の事で一瞬固まってしまったが直ぐに近くの影に隠れた。


(あれは…牛鬼!)


隠れながら気づかれないようにして月華は観察すると直ぐに答えを得ることができた。幸いなことに牛鬼はこちらに気づいておらずよく見ると何か生き物を捉えている。どうやら樹の上から獲物を狙っていたようでこれならいきなり現れたのにも説明ができる。

月華は捕まっている獲物を自分と重ねてしまった。よくよく考えると月華は森に心を奪われて意識を外してしまっていた。鳥居を潜る前に決意したことを忘れていた。もし自分があのまま進んでいたらと恐ろしい光景が目に浮かんでしまう。


(ここは私が住んでいた世界じゃない。ここはもう異世界なんだ!)


月華はそう心に言い聞かせた。

月華は牛鬼のいる方に注意しながら別の方に向いて今度こそ油断しないように行こうと決意し少しずつ警戒して進み出した。




数時間後月の光が真上から降り注ぐ程の時間になった。月華は夜の森を何時間も歩いており、大きな川へと着いた。月華はここに来るまでに牛鬼以外の多くの妖と遭遇するが全てを隠れて何とか防いでいた。点数を取るにしても地形をある程度把握しないと策は練れない。だからこそ月華は罠を貼るに十分な地形を探していた。

川に近い場所でキャンプをすることにして月華は辺りを見渡した。倒れた木々や深い草むら余り妖や動物が来ないことが分かる。

月華は川辺である程度の荷物の整理を始めた。荷物は簡単な霊薬や丸薬、あとは御札などに食料だ。補助になるものは自分で作ったもの以外は禁止にされている。つまりこれらは食料以外全てを月華が作ったのだ。と言ってもこれは今まで月華が生きてきた中で作ってきたもの全てなのだが。


(えっと、使うのは土申の札と誘惑の霊薬に月の丸薬だけかな)


必要な物を確認した月華は早速準備を始めることにした。やることは単純で罠を仕掛けるだけだ。罠と言っても術で設置するわなでは無い。術で設置した罠は常時術者から霊力を奪っていくために普通なら霊石や魔石などを使って補わなければならない。そうすることで術者は霊力を使う必要が無くなるのだ。しかしそんな高価なものをあの親が買ってくれるはずもなくましてや試練には持ち込めない。

月華が落とし穴などの典型的なものだ。もちろん術で罠を作るのだがただ穴をほったりとするだけであとは月華自身が準備する。そして月華自身が囮となり誘き寄せる。

月華はまず土申の札を森の中の少し拓けている場所の地面に貼った。貼った札に手をつけながら月華は霊力を送り込み想像する。土申の札は土を自在に操るための札だ。それを使って月華は穴を掘った。

十分な穴を掘ると霊力を流すのをやめた。これは簡単な術で霊力を扱う小学生の遊びでも使われるぐらいなのだが月華は半分の霊力を使い倒れそうになる。月華の霊力の量は小学生よりも少ないと言えるだろう。

月華は倒れそうな自分に我慢を強いて手に持っていた丸薬を半分にして飲んだ。すると一瞬で霊力が回復する。

月華は穴の中を覗いた。穴の中にはしっかりと杭の様なものがあり落ちたら一瞬で死ぬ事が想像出来る。

他にも準備することがあったために月華は別の準備に直ぐに取り掛かった。

全ての準備が終わる頃には持ってきていた回復の丸薬をほとんど口に入れてしまっておりもう4粒しか残ってなかった。何年も作ってきた丸薬が一日でパーになってしまい月華は壊れたような微笑みを浮かべてしまう。

まだ夜が開けるには時間があり疲れた月華は川辺の近くで隠れられるような場所に行き直ぐに意識が消えたように眠りについた。

罠とか仕掛けてますが主人公が頭脳派ということはありませんからね。僕的にはこの先に出る黒いあいつを出したいんだぁー!…Gじゃないからね?

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