第2話転移
いやぁちょっと書けなくて少し遅れましたよ
「ただ今参りました」
月華は陽香と別れたあと鳥羽家の当主の部屋へ来ていた。その時当主の部屋へ行くために出す1歩1歩が重く感じ足を出す度に自分の決意が揺らいで行った。
「やっと来たか。もう少し遅ければどうなっていたことか」
今月華の目の前に居るのは彼女の父である鳥羽雷門と言い現鳥羽家の当主である。彼もまた月華を娘と認めず役立たずと呼んでいた。ただ愛を欲しいと願い努力しても決して認めることはなく月華を傷つけ続けた人だ。だからこそ月華は既に両親ともに愛を求めることも期待をすることもやめた。
「お父様を不快にさせず良かったです」
「ふん、思ってもいないことを。まぁいいそれより早く来いすぐに行くぞ」
「…わかりました」
皮肉を込めて言ったつもりだがどうやら父には分からなかったようだ。
月華は父に言われたように父の近くによった。父の足元には陣があり私が近づくと父は霊力を陣に込め始めた。無言の中、過ぎる時間は本当に長く感じてしまう。父も嫌な顔をして目をつぶっている。
霊力が溜まったのか霊力の流れは止まり陣は大きく光、月華達を包み込んだ。
光が収まったと同時に目を開けるとそこは先程までいた書斎ではなく全く別の場所であった。そこには数十名の人がおり中心には社があり、その後ろには鳥居があった。鳥居の先は結界が貼られており誰も入れないようにされていた。社の周りには火がつけてある灯篭が周りに置かれており時間帯が夜のために幻想的に見えた。
「全員そろうたか。では今年の試練を始める」
社に立つ高齢の男性が私達の到着を確認して話し出した。男性のなは現安倍家当主の安倍晴明であった。安倍家の当主は必ず安倍晴明の名を賜り初めて当主となれる。名は安倍家の力の象徴である。
「説明は家でされておるだろうから儂からの説明は簡単にしておこう。試練は3日間行いその間に多くの妖を討伐しこの石にその魂を封印しなさい。生き残れるか分からぬ試練だ。今ならまだ棄権は受け付けよう。しかしひとたび参加すれば終わるまでこの試練からは抜け出せんぞ?」
晴明は厳格な言葉で話していた。それは月華だけでなくほかの試練を受けるものの緊張を強く持たせた。しかしここに危険しようと思うものはいない。何故なら家の名誉がかかるためである。月華は正直に今棄権したいと思っていた。しかし危険した瞬間に月華は雷門の怒りを買うだろう。それなら出て死んだ方が雷門の怒りをぶつけて殺されるよりは試練で死んだ方がマシだ。
「ふむ、家門のために抜け出せないなどはあるまいな?…覚悟があるなら儂からは何も言うまい。ではもうすぐ時間だ。参加者よ鳥居に並べ」
晴明がそう言うやいなやすぐに数名の若者が鳥居に向かった。月華もその1人だ。鳥居には男性が3名巫女が月華を合わして3名と男女で半々となる人数だ。
月華は1番遅くに鳥居に着いたために注目を集めた。彼らからの視線は強く月華を蔑むように見ていた。
「おいおい、落ちこぼれまで試練に出るのかよ。お前が出たらこっちのモチベ落ちんだよ。だからな棄権してくれや?」
月華の姿を確認するとすぐに1人の茶髪の青年が近づいてきた。彼は月華の前に来ると忌々しそうに月華を見ていた。しかし月華は何も返すことも無く黙り続けている。
「チッ何しかとこいてんだよ。落ちこぼれの分際で俺を無視してんじゃねぇぞ!」
青年は月華に無視されたことにイライラ下のか眉に皺を寄せて睨んだかと思うと突然彼は手を振りあげた。振り上げられた手を彼は力一杯込めて振り下ろした。
振り下ろされた手に思わず月華は目を閉じた。しかし一向に衝撃が来ないので恐る恐る月華は目を開けた。
目を開けた先には青年の腕を掴んでいる晴明が居た。
「ちと騒ぎ過ぎじゃ。もうすぐ試練が始まるしのぉ。もう少し落ち着け」
柔らかい声でそういうがちっとも優しさも感じず逆に恐怖を感じてしまう。その視線が月華には向いていないのにそこまで感じるなら青年は何処までの恐怖なのだろうか。実際に青年の足は震えていた。
「す、すいません。少し騒ぎすぎました」
やっとの思いで出た声なのか青年の声は震えており少しだけ涙目になっていた。
「ほっほっほ。分かれば良いのじゃよ」
青年の言葉を聞いて直ぐに晴明の声は威厳がありながらも優しさがある声になっていた。しかも先程に感じたものが一切感じなかった。
「さて、落ち着いたところで試練を開始する!参加するものは鳥居を通って試練の地に行け!」
合図とともに先程の観客となっていた人達が先に入っていった。先程まで震えていた青年も晴明が手を離すと頭を下げてすぐに鳥居に向かった。彼は鳥居をくぐる瞬間に月華を睨みながら入っていった。
「どうした?お主は行かんのか?」
「あっ!すいませんすぐに行きます!」
「ほっほっほ。そこまで慌てる必要は無い。何事も焦りは禁物じゃよ。若人よ気楽にとは言えんがゆっくりと行きなさい。焦った時が死へと繋がる」
安倍家の当主からの優しい言葉に月華は目を見開いた。何故なら自分が何処までも必要とされてない人間だと思っていたからだ。というか家系自体が月華を既に迫害していたのだから。
「あ、ありがとうございます」
「頑張るんじゃぞ」
月華は頭を下げると直ぐに鳥居へと向かった。鳥居には薄くも結界があることを水面を見るかのように理解出来た。
結界を抜ける時は少し変な感じがしたが問題なくゆくことが出来た。ここからは一切気の抜けない魔境だ。油断した瞬間に私は既に死んでいるだろう。
ここは世界でも有数な世界のトップレベルの魔の危険領域なのだから。
月華才能がないのは本当ですよ。次は戦闘シーンですね