能力の解明
パンが焼けるいい匂いが聖なる灯の空間いっぱいに広がる。キブリーたちにも大好評だった棒パンが焼きあがるところだった。蓄能結界杭を使う前までは遠征クエスト初日の焚火には必ずリクエストが入っていた。
「もう少し胃袋を掴んでおけば、パーティー離れずに済んだのかな~」
何をいまさら、別れ話をされた女性の境地のような考えだな。結局は過ぎ去ったことなので仕方がない、みんなと離れてこの数年で自分の能力について考察し、聖なる灯の有効性が良くわかった。
当時の俺たちが破竹の勢いでクエストをクリアしていたのはこの聖なる灯のバフ効果が大きかった。それが蓄能結界杭を使い始めたため、全体的なバフがなくなり、スランプと勘違いする時期に入ってしまっていた。
ただ離れたからバフ効果がわかったのかもしれない。実際かなりの時間みんなから離れていたけどバフ効果があるといった考えには至らなかったし、確証はなかった。今となってはこれで結果オーライだろうし、それ以外も俺自身に大きな変化が起きたのだから今回のことを悲観してもしょうがない。
「もう少しで焼けるんだけどな~、早く帰ってこないかな~」
特大の肉盛り棒パン2個もいい具合に焼けてきている。アツアツを食べたいのだが、まだ戻ってこない。どこまで行ったのかな?
「っ、イッタ。やっぱり少し痛むな」
ここまで来る際に、モンスターと対峙しており、軽くけがを負わされてしまった。まぁ、それも軽傷で済んでいるのはモンスターを早く仕留められることができるようになったおかげだった。眺めた先に置いてある武具はキブリーたちパーティーに所属していたころに比べたらだいぶ様変わりしていた。
「おう、ちょうどいい感じじゃないか。後はこっちの方がもう少し焼けたら」
自分用の棒パンはすでに焼きあがっており、少し火から遠ざけているがこのままでは冷めてしまう。そうこうしているうちに特大パンも焦げ付いてしまう。エリア内にはにおいが充満しているから気が付いているはずなんだが、どうしたものか。
パンに集中していたために気が付いてなかったが、後ろから1匹の獣は近づいてきていた。4つ足歩行の獣は爬虫類をほうふつとさせるような動きで気づかれずに対象にとびかかろうとしていた。
見た目はイタチのような姿ではあるが全身が銀のうろこでおおわれており、尻尾も普通のイタチに比べて大きく太かった。頭部からまっすぐ背中を通り尻尾の先まで銀毛が生えており、ふさふさというよりはごわっとした感触だった。爬虫類っぽい目をしているせいもあり、顔が動物的というより、トカゲっぽい印象である。
「ファッシャ~~~~~~」獣がデリックにとびかかる。
「ぐわっ!?」
「ファッシャ、ファッシャ!」
「こら、止めろ、わった、俺は先に食べてないから、一緒に食べよう、な」
俺をめがけてとびかかってきたどう猛な相棒を何とかなだめ、引きはがした。四つ足なら腰ぐらいの位置だが、頭から尻尾までの長さでみたら、2メートル半ぐらいはある。上に乗られたら、ひっくり返すのはほぼ無理だ。
「ったく、このいたずらっ子っめ。」
美しい銀色をした獣は悪ぶれるようすもなく地面に座り込む、この大きさでまだ4歳というのだからこれからどうしたものか。ただこいつの母親のでかさも4つ足状態で俺の伸長と同じくらいだったからな~~、・・・・馬鹿でかくはならないだろう。
「ほら、ナルジャ、焼きあがってるよ」
相棒の顔の前に棒を抜いた特大のパンをお皿に2個置いた。獣なら地面に置いても良いと思うのだが、ナルジャは絶対に地面に置いたものは食べなかった。まぁ拾い食いしないから心配しないで済むのはありがたい。
俺は自分の棒パンを2つ持ち、ナルジャによりかかるように座ると長い尻尾を巻き付けてきた。別のところに一人で座るといつも巻き付いてくるので自然とこの態勢が定番になっていた。ただざらざらのうろこにゴアゴアの毛はあまり触り心地としては良くない。でも背中の毛をなでてやると喜ぶので梳かすように撫でてあげる。ただ少しやると痛さに我慢できなくなるので、適度に撫でてあげた。
撫でられたが若干物足りなさそうな様子のナルジャだったが目の前にある焼き立てパンに夢中になっていた。
「今回はうまいチーズが手に入ったから練りこんであるぞ。熱いから気を付けろ」
ナルジャは器用にパンを食べる、猫舌ではないようで、熱くても平気だ。というよりも冷えていると抗議してくる。こういう生き物って猫舌じゃないのって突っ込みたくなる。
「明日はダンジョンに潜るから頼むぞ。」
俺が7年の間一人だけのパーティーでいたら、とっくに冒険者をやめていただろう。このナルジャとの出会いがあったからまだ続けられていた。
俺はキブリーたちパーティーから離脱した後、冒険者としてモンスターを仕留めることができず、苦労していた。そもそも最初のパーティーでは、仕留めるのはヤーやアッザの役目であり、タンク役で引き付ける専門だったので仕方ないと言えば仕方ないが、甘えていたんだろうな。
そのあと何組かのパーティーにも参加はしてみた。最初はキブリーたちのパーティーに属していたから、期待されて声をかけてもらえた。盾役として加わったとしてもある程度攻撃に参加できないといけない。クエストに出発する初日の最初は良い。自分で火を焚いて朝食を作るルーティーンだったため、自然とバフがついていたからだろう。問題は時間の経過とともにやってくる。そのパーティーでも野営では蓄能結界杭を使用していたため、聖なる灯のバフがなくなってしまい、俺自身の火力がイマイチ出ていなかった。
新たなパーティーメンバーからの期待値が大きかった分、彼らの俺に対する裏切られた感の視線が強く、逆にこの程度だからイケイケのパーティーから離脱したのかと納得もされた。次のクエストには呼んでもらえず、結構傷ついた。
そのあとも試しでいくつかのパーティーに参加したが長続きしなかった。そんなことが続き、俺に対する評価がボッサムの街に広まった時には、既存のパーティーから誘われることはなくなった。なんとなく憐みの目で見られる環境は幼いころに受けていた辛さを呼び起こしたが、耐性があったおかげでくじけずに前を向いて、ソロで活動をする気持ちに切り替えた。
そんなころ、そうみんなから離脱して1年ぐらいたったころ、キブリーとヤーから育てている初心者パーティーのサポートに入ってほしいといわれ、数か月ぐらい参加したのが最後のパーティーメンバーだったと思う。最初のことは彼らはお金もなく結界杭が買えなかったため、聖なる灯と共に彼らはクエストをこなし、破竹の勢いを見せていった。しかし彼らがギルド内で成長し、上のランクへと昇進してくるうちに、やはり結界杭を利用し始め、少し下降傾向になりつつあった。そんなころやはり攻撃スキルや補助スキルがない俺では役不足になりつつあった彼らの俺に対しての気持ちを察して、自分で身を引いた。
最後の離脱は本当に心にきつかった。彼らもキブリーたちからの紹介だからむげにできないけど、このままでは‥的な視線が痛かった。そんな思いが続くならソロだけで活動しようとこころに決め、死なないよう一人でもこなせるクエストを中心に自分を鍛えることにした。ダジットにも防具改良や立ち回りなどいろいろ相談し、必要な材料を優先的にクエストで取得するようにしていった。
そのころになると俺は初期クエスト経験が豊富になり、キブリーたちからは初心者パーティーに指導的なフォローをする立場になるのはどうかとアドバイスも受けたが、さすがにそれは先に進みたい冒険者としてのプライドが許さなかった。ただ自分自身でも冒険者としては長く続けられないのではと感じていたときに出会ったのが、俺の横にいるナルジャである。ナルジャとの出会いが俺を大きく変えてくれた。そして俺の聖なる灯の力を再度検証する必要があると感じた出来事でもあった。
一方でパーティーを離れてから大体2年の間に、キブリーたちはかなりの変貌を遂げ、上位クラスに食い込んでいた。立ち回りもキブリーが斥候し、ヤーがタンクとなり、アッザの高出力アタッカーと補助系能力も身に着けたリゼッタが後ろで支えるといったバランスのとれたパーティーになっていた。
このヤーのタンクがかなり有能で、上位ランクに食い込む原動力となっていた。当初ヤーは俺を追いやってしまったことが後ろめたかったらしく、タンク職を拒否していたらしい。その時申し訳なさそうにキブリーが俺を訪ね、俺からも説得をしてほしいとまたタンクの特訓をしてほしいとお願いされた。ヤーを説得し、特訓をした時に、面白半分で助言した「盾にも破砕衝の力を伝えられるのでは」の一言で、事態が急変した。ヤーの盾に破砕衝の力が加わり、攻撃をしてきた相手に対して、そのまま反撃ができるようになったのだ。
そこでもともとダジットと作り上げていた回避型ではないタンク装備をヤーに譲り、また密かに二人で構想していた「チャージハンマー【盾槌】」をヤーに託した。チャージハンマーは俺の火力不足をダジットに相談した際に蓄能結界杭の原理を利用し、相手の攻撃を蓄積させて、相手に蓄積させた威力を返す機構を載せた盾だった。
相手に返す威力を載せるときは盾の形状よりも別のかたちで、インパクトが伝わりやすくするため刃物よりも打撃の形状が良く、最終的に決まった変形形態がハンマーだった。盾のグリップを引き、回転させると盾の中心個所以外が織れ込みハンマーになる仕組みだった。
ギミックが複雑になると耐久値が低くなるため、かなりの試行錯誤ととにかく材料が必要だったが、上位ランクに食い込む前のキブリーたちがかなり頑張ってくれた。みんなもタンクの重要性がわかっており、夢のような盾が出来上がることに、ほんと素材集めに奮起してくれた。
そうして試作型チャージハンマーのお披露目会の時はダジットと一緒に大喜びしてはしゃいでしまった。盾を持ったヤーにこれまでの不満を盾にぶつけたときはスカッとしたが、攻撃を蓄積させた一撃はそこそこだった。自分のために作ろうとしていた盾であったが、俺が使っても大したことはないことが証明され残念な気分になった。ただし2回目の試運転でヤーの破砕衝の力を加わることで、大岩が一瞬で粉砕される恐ろしい火力となった。
「パーティーから離れたのに面倒かけてすまない」
キブリーが神妙な顔をして近づいてきた。しかしその顔には粉砕された岩の粉がついていて少し間抜け感じだった。
「気にするなよ、俺だってみんなの役には立ちたいのさ、最初のパーティーだし、みんなとウマもあったしさ」
「それにしても、デリックはお人好しだね~」
「暇なんじゃない?」
ヤーとアッザのお気楽コンビがダルがらみしてきた。
「暇じゃねぇよ~、俺だってこれからを考えているんだよ」
「まさか、冒険者やめませんよね?」
リゼッタが心配してくれる。ありがとう。
「田舎に帰りませんよね?またご飯作ってくれますよね?」
よし、俺のありがとう戻ってきておいで~、リゼッタはたまに俺が作ったご飯をもらいに来るが、それが目的なんだ、俺のことが心配ではないんだ。
「リゼッタ?俺を何だと思っているのかな?」
みんなから離れた後もちょこちょこ会っていて、たまにキブリーの孤児院でBBQを開催し、俺は大活躍していた。肉串や野菜は聖なる灯でうまみが引き上げられ絶品になっており、今思えばバフの効果で子供たち含めみんなすこぶる元気になっていたんだな。
「あのさ~、ち~と耐久テストしたいからさ~、ヤ~君、いろんなところぶったたいて~」
俺たちのやり取りにダジットが間の抜けた言い方で入り込んできた。職人とは思えない性格の持ち主で、職人ギルドから省かれてしまうらしい。まぁそのおかげで俺は仲良くなれたし、職人という考え方をしないおかげで、盾という防具に武器や道具の要素を載せようとか面白い発想が生まれるんだけどね。本当なら武器職人は武器だけ、防具職人は防具だけと凝り固まりそうなものだけど。
そのあと、いつもとは違う職人らしい一面を見せ、妥協しない耐久テストのおかげで、ヤーは手に血豆と全身筋肉痛という代償を経て、完成されたチャージハンマーはものすごい威力を放つ盾となっていた。そのあとみんなでBBQをして、その時も棒パンを作って食べたっけな。
昔のことを思い出しているとパンを食べ終わったナルジャはさっきの毛を梳かす続きを要求してきた。鼻先をみぞおちにぐりぐりしてくるのだが地味に痛い。毛をなでるのも痛いのだが、そっちの方がまだましだ。あの時のことを思い出しながら、ナルジャの毛をなでながら、ふと思う。
「ダジットもとことんやるよな。ヤーもあんな地獄のような耐久テストを繰り返して、良く血豆と筋肉痛だけですんだよな。俺なら体がボロボロになっているぞ。」
いや、最初はヤーもボロボロだった。はっきりいえば、死にかけていた。だけどあの後BBQをするため、焚火をして、「聖なる灯」が発動した。その結果回復した?いやまだその時はそこまで回復してなかった。じゃぁ、いつだ。
「あの後ボロボロになったヤーは少しずつ動き始めて、ご飯を食べ始めて、そこから元気を取り戻して、そうだ特に棒パンを食べたときに一気に痛みが吹き飛んでいた様子だった。・・・ちょっとまてよ、そういえばナルジャの毛をなでる痛みがそこまでない。いつもはもっと痛いのにどうしてだ?」
自分の手を見て驚いた。ナルジャの毛をなでるといつも掌が擦り傷っぽくなるのだが、みるみるうちに赤みが引き、痛みがなくなっていく。
「これはどういうことだ、聖なる灯の効果か?いや、違う。だったら焚火がついたときにここまで来た際にできた傷が消えていくはず、、、そうださっきの傷は、、ない。どういうことだ、ご飯を食べてから、変化が起きた。。。。まさか」
俺は先ほどしまった自分の冒険者カードを取り出す。そうすると先ほど見た際に濃い青だった体力が濃い緑に変化しており、耐久力と技量も変わっていた。どういうことだ。
聖なる灯で作った食事をすることで追加のバフが手に入っていることになるのか。
「いや、しかし身体能力強化だけなら、回復する速度は変わらないはず。どういうことだ。」
現状分かっていることは聖なる灯自体は身体能力全体を強化する。
聖なる灯で作った食事とった後に見た冒険者カードは特定の能力をさらに強化されている。もしかしたらさらに追加で特殊な効果も発動しているのかもしれないということか。
「マジか、これは、かなり、すごい能力じゃないか?でも追加の能力条件はあっているのか、そもそも食事によって何か違いがあるのか?」
検証してみないことにはわからない。しかし今回はそこまで食材を持参してこなかったからな、どうするか。街に帰ってから、検証‥、イヤいま検証してみたい。そう思うと荷物を開け、明日に食べようとしていた食材を取り出していた。
ナルジャは首をピンとし、新たな食べ物が出ることに喜んでいる様子だ。こちらとしては結構重要な局面なんだが、相棒にとってはもう一回おなかを満たせるぐらいにしか思ってないだろうな。
洞窟内で食べるように仕込んでいた肉を焼くことにした、洞窟の中では携帯食料だけになるが仕方ない。ちょっと漬け時間が短いが背に腹は代えられん。
まず焼く前に生の状態で肉を食べた。これは条件の確定のため仕方がない。明日腹を壊さないことを祈ろう。冒険者カードをみると特に変化はなかった。
聖なる灯で肉を焼くこと10~15分。いい具合に肉が焼けた。ナルジャは生肉を所望するかと思ったが、焼けと催促してきたので固まり肉が香ばしい香りを放っている。ローズマリーはやっぱり良い。それにしてもただ獣だったら生肉の方が好きだと思うんだけどな~、やはりナルジャはちょっと変わっている。結局ナルジャの分がレア程度になるまで焼き、食べてみた。擦った果実と香辛料がいい具合の味付けになって、美味!!
さて本題のカードを見ると、やはり効果が表れていた。ただ、これによってまた検証が必要になる結果となった。先ほどは違い、筋力・持久力が変化していた。さっき上がっていた体力と技量が前の色に戻っている。変わっていなかったのは耐久力だけだ。焚火のバフは消えず追加のバフはついて、しかし前の食事で得たバフが消えた。前のバフが消えた理由は?食べるタイミング?それとも食べたもの?わからん。
これは街に戻って本格的な調査が必要だな~、キブリーたち以外にもいろいろ協力を仰がないと、一回で調べ切られるかな~。色々な考え事をしながら、ナルジャの毛をなで始めた。やはり痛いな~、でもすぐ直るし、いやいや、かなり痛い、前の時といつもの時と同じくらい痛いわ。
「いった」
耐えきれずに思わず手を離した。掌を見ると、さっきはすぐに消えた傷が、しっかり擦り傷のような跡の赤みとなって残っている。
「どうゆうことだ、さっきは消えたはずなのに・・・っつ!!」
追加の食事に満足し、さらに毛をなでてもらって上機嫌だったナルジャは自分の主人の変化に首をかしげていた。悩んでいたと思ったら、喜んだり、考え込んだり、驚いたり、忙しい人だ。ほぁあ~~ねむ、寝よ。そんな様子のナルジャは丸まって寝始めた。
「バフの効果が変わったということは、食事に含まれていた何かしらの効果も変わったということか。つまり棒パンは体力と技量と耐久力を上昇させ、さらに回復を促進する効果と痛覚を抑える効果があった。それが漬け込み肉を食べて消えた。その代わり筋力と持久力がということ。耐久力が変わらないのはこれも上昇しているからだろう。つまり回復促進とかに変わる追加効果があるはずだ。なんだ、なんだ?」
「ご主人が興奮して煩い、もうおなかいっぱいで眠たいのに。」という冷たい目線をナルジャから感じ、我に返った。そうかお休み、静かにするよ。それにしても、本当に本格的な検証が必要になってきた、わくわくが止まらないぞ。やっと7年目にして自分の力の本質が分かってきた。とにかくノートにまとめよう。
単なる焚火の強化版と思われていた聖なる灯の効果は
1.一定の範囲をまんべんなく明るくする。
2.明るくなっている範囲は結界と同様モンスターが寄り付かない。
3.範囲外で起きた自然現象が範囲内に入ったら和らぐ。
これまでなら確かに焚火の強化版、ポーター向きの能力で、便利ではあるが蓄能結界杭があれば大して必要のないところだろう。そもそも大雨等の時にはよっぽどのことが無い限りクエストに出ないからな。問題はここからだ
4.聖なる灯の焚火を一定時間浴びると能力全体が強化される。
5.聖なる灯を使った料理を食べると特定の能力強化と追加効果が上乗せされる。
4と5の能力はやばい、かなり特質している。全体の底上げと必要に応じた能力変化が可能になる。これはクエストの成功率を大きく左右させる。後はどの食事がどんな効果をもたらすのか。また能力が打ち消されてしまう条件、あと効果発動時間これが分からないといけない。
考え込むようために何気なくとった腕を組むと食事によって強化された筋力が目に見える結果として現れていた。たくましい、この腕ならあの重かったチャージハンマーも扱いこなせるのではないか。
そういえばキブリーたちもクエストを大成功させるときは出発前にBBQしたりして、聖なる灯のバフと飯による追加効果がみんなに付与されていたのかもしれない。ナルジャが調理されたご飯を好むのもそのためか?なぞは色々あるが、一つずつ調べていこう。
今日はもう遅い。明日のダンジョン潜行に支障をきたしかねない。もう寝よう。数年ぶりに冒険者生活に不安を抱かず、逆に冒険者の明日を楽しみに寝られることに喜びを感じた。
明日はダンジョンで必要な素材を集めないと、それでやっと俺は新しい防具がそろい、新しい自分の職、タンク型ビーストテイマーとして活躍できるようになる。そうすればまたみんなとパーティーを組んで冒険をしよう。この能力があれば申し分ないはず。これからの明るい未来に夢膨らませ。ナルジャの横で眠るのだった。
あっ、歯磨き忘れた。まぁいっか。