宿屋の出会い
過去の投稿も含め誤字脱字変換間違いがひどくてすみません。いつか修正します。
「規則ですから、この宿では一人一つの個室で男女別です。」
アンに何度か説得したが、どうやら俺たちの話していることが理解できないというか、乱痴気騒ぎが起きることとは考えられないのだろうし、だからどうしたという感じだ。
「もし他のパーティーの人に迷惑をかけたら、絶交です。わかりましたか。」
「迷惑って、私が迷惑をかけたことなんてないわよ。」
「前にアッザさんを巡って、揉め事になったのを忘れましたか。」
「あらそんなことあったかしら~、あははは」
「とにかく、お手付き禁止です。」
「何を言っているの、リゼッタ。私にはあなたがいるのに、他の子に現を抜かすことなんてないわよ。」
「そんなこと言って、いろんな人に手を出していますよね。」
「それはリゼッタがあたしを受け入れてくれないから、寂しくて、リゼッタがあたしの相手をしてくれたら、そんなことにはならないのに?」
「それとこれとは話が違います。」
「話をそらさないで、リゼッタ、あたしはあなたが好きよ。あなたは?」
「それは・・・」
「ほら、それなら、あたしはこの寂しさを埋めるため・・・・」
「だから、そういうことをするから、私はあなたが・・・・」
「!!なら、やめれば私のものに」
「そうじゃなくて!!」
ぎゃーぎゃ―、ガヤガヤ
広間の向こう側でリゼッタがアッザを説得しているが無理だろうな。まぁ、たとえアッザと言えど、1晩やそこらで他パーティーの女性メンバーを落とせるわけはないと・・・・信じたい。それに今向こうで夫婦漫才的に騒いでいればみんなリゼッタとアッザがそういう関係だからと距離を置くはずだ。まぁ、なんとかなるだろう。そんなに長く滞在するわけではないし、どうにかなるかな。なるよな。
「まぁ、とにかく各自の部屋に行って、荷物置いたら、集合するか。」
「できれば、少し休みたいな~、できれば風呂入ってさっぱりしてからで、どう?」
「ヤーに賛成するよ。俺もナルジャを寛がせたいし、少し時間が欲しいな。」
完全にアッザのしつけはリゼッタにお任せだ。リゼッタは観念してアッザを受け入れてもらいたいものだ。
「アン、すまないけど、食事の時間は何時までなんだい。」
「はい、夜9時半までです。それ以降は軽食程度なら出せますが、火は落としてしまうので、あたたかいものは出せません。」
「ああ、分かった。ありがとう。お~い、リゼッタ、アッザ、こっちにこい。そしたらこれからの行動を伝える。今が17時半これから2時間各自の自由時間としてくつろいでくれ、19時半になったら、この広間に集合し、夕食を取りながら今後の予定を話し合おう。」
「「「「了解」」」」
「あと、アッザ、さっきまでリゼッタが言った通り、他のパーティーに迷惑にならにように。」キブリーがアッザにくぎを刺すとアッザはリゼッタと一緒に女性側の階段、キブリーとヤーは男性側の階段へと登っていった。
さて、と
「アンちゃん、申し訳ないんだけど、ビーストテイマー用の棟はどこにあるのかな?」
「そうでした。そしたら、弟に案内させます。トッド~、こっち来て~。」
そういうと先ほどクラリスが消えていった扉の中へ向けて大声で呼びかけた。小さい体から発せられたとは思えないほど大きな声だ。
「はーい、アンねぃ、すぐ行くよ」
ずいぶん遠くにいるのだろうか、かすかな声の返事が届いた。と、思ったら何とも優しそうなか弱そうな少年の顔がひょこっと見えた。
「どうしたの、アンねぃ?」
むくっと、扉から出てきた体は・・・・、いや、顔と体型のバランスが・・・、どういう、首太、服パツパツだけど、というかその顔でその体は反則というか、持つべきではない。
「トッド、こちら新しい冒険者さん、名前は・・・」
「はぁつ、デリックだ、よろしく。」
「デリックさん、クラリス姉さんが連れてきた冒険者パーティーの方。でデリックさんはビーストテイマーで、外に使役獣がいるみたいなの、ビーストテイマー用の棟の空き室に案内してあげて」
「はい。デリックさん、よろしくお願いいたします。それじゃぁ、早速案内しますね。」
「・・・・・」
「デリックさん?」
「あっ?ああ、よろしく、ごめん、その、無視していたわけではなくて、その、なんというか。」
「ああ、すみません、声が小さくって、これでも精一杯声を発しているんですが。」
いや、まぁ、そんなところなのだが、恥ずかしそうにしながら大男?大少年?は扉を開け、案内してくれる。人見知りというわけではないようだが、どうしてこうも声が小さいのだろうか。
外に出るとナルジャの姿は見えなかったので、大きな声で呼んだが何も反応が無かった。どうしたのか、そういえばさっき帰ってきた冒険者たちも何も言わず宿に入ってきたな。初見でナルジャを見た冒険者なら大概驚いてあれこれ聞いてくるのに。どうやらどっかに行ったのか?
「お~い、ナルジャ~、いくぞ~」
「フシャア~~~」
さらに大きな声で叫ぶと、待ちぼうけでつまらなかったと言わんばかりの欠伸を出しながらゆったりとした足取りで銀毛を揺らしながら近づく鼬は、だいぶ待たされて眠いのか、近くに来るとくるっと丸まった。
「おい、ナルジャ、お待たせたのは悪かったけど、これから寝床に行くから、ほら、起きていくぞ」
「フシャァ~~~~」
眸を閉じて動こうという気配を一切感じさせない。若干不貞腐れ気味だ、まずい、このままここに放置もできないし、どうしようか悩んでいると「…しかたないなぁ~」と横で何かがささやく声が聞こえた。「ええ」と生返事をし、申し訳ないと伝えようと後ろを振り向くと、すれ違うように巨大な影が丸まっているナルジャに近づいた。ナルジャは近づいてきた気配に気が付くも、敵意がないのが分かったのか無視を決めこんでいる。
「ああ、本当にごめんね、今起こす・・・」
「ぇぃ」
「フゥァ⁉ファッシャァ⁉」
目の前で巨人が丸まっているナルジャの塊を持ち上げた。そう、持ち上げ、えっ持ち上げちゃった。
「あ、そ、その、ぇえ、持ち上がるの?」
「はい、あれ、今だって、持ち上げるしかないかなぁって言ったら、「ええ」って、許可してくれたんじゃぁ?」
「えっ、あ、「しかたないな」ではなく、「しかないな」って、いや、ふつう持ち上がるとは思わないけど」
「あはは、家畜の世話で鍛えているんで、それに牛さん2頭担ぐよりは軽いですよ。」
「そうなんだ」
この会話中もナルジャは上で驚いてジタバタしているのに、体幹がしっかりしているのか全然ぶれない、いや~、家畜の世話は大変なんだなぁ~
「って、そんなわけあるか。いや、えっとトッド君だっけ、君が持ち上げているナルジャだけど、そんなに軽いものじゃないし」
俺の言葉にナルジャは失礼ねといった目つきをする。
「そう、それでね、というか、さっきさらっと牛2頭担ぐって、担ぐの?」
「はい、牛さんたちもたまに動かない時があるので、担いで運ぶ時があります。」
「へぇ~そうなんだ、すごいな、それは。」
そのまま、トッド君は気にせず歩き始めたので、俺も横を歩いた。上を見ると暴れることを放棄したナルジャが心地よさそうにしている。以外に担がれるのは快適らしい。
「この子、少し変わっていますね。」
「えっ、ああ、そうかな。」
「見た目は大きな銀鼬みたいですけど、なんか立派な鱗が付いている。見たこともないモンスターな気がします。どこでテイムしたんですか」
「ははは、実はたまたま卵を拾ってね、それを育てたら、モンスターだったんだ。」
「そうなんですか、この子は墨泥樹から生み出されたモンスターじゃないんですね。」
「・・・・」まぁ嘘ではないよな。
「いいなぁ~、僕も冒険に出て、モンスターとかと戯れてみたい。」
「戯れって、モンスターは命を奪いに来るから、そんなにかわいいものじゃないよ」
「でもナルジャちゃん、でいいんですかね?こんなにおとなしくてかわいいモンスターにも出会えるんですよね?」
その言葉にまんざらではない態度を示す相棒はトッドの片方の方に乗っかっていた体制から首周りに巻き付くようにしている、恐ろしいマフラーだ
「いえ、ナルジャは結構おてんばって、首に巻き付かれてチクチクしない?ってかナルジャそろそろ降りろ、迷惑だぞ」
「はははは、良いですよ。そんなに痛くないですし、こんな機会めったにないですし」
「トッド君は冒険者になりたいのか?」
「はい、ただ家族も守りたいので、今はみんなと一緒にいます」小さい声の中にも確固たる意志を感じた。
「あそこです、最初はあそこを家畜小屋にしようとしたんですが、牧草地の反対側だったんで、倉庫代わりに使っていたんですが、たまたまビーストテイマーの方がいる冒険者パーティーが止まった時に改築したんです。」
指さした先には扉が4つある長屋があり、左二つと右端の部屋は光がともっている。
「ここが今開いている部屋です、鍵はこちらです。それじゃ、ナルジャちゃんまた今度ね。」
首に巻き付いたナルジャをほどくとゆっくりと下ろした。ナルジャは名残惜しそうに甘ったるい鳴き声を上げている。
「それじゃ、僕はこれで」
「ありがとう、トッド君」
そういうと大少年は手を振って本館の方へ戻っていった。
暗い部屋の中に入り、机の上にマッチを見つけると壁に掛かっていたランプに火をつける。火の光で部屋全体がやさしい光に包まれた。先ほど案内で見た本館の絵とは真逆で部屋の中は広く、ベッドが一つと机といすが端に用意されている。必要最小限のものだけがあり、毎日掃除され清潔な状態が保たれていた。床に荷物を下ろし、ベッドに座ると長旅の疲れが出たのか眠気が襲ってきた。ああ、このまま19時まで眠りたいが、一度寝たら起き上がれないだろうな~、でも布団が気持ちいいだろうなぁ~。とベッドに倒れこみ目をつむろうとすると
べろぃしぅゅ~
・
・
・
何とも熱烈な。これは俺の毒耐性が無ければみんなのけぞっているぞ。
「わかっているよ、さっきこの宿の地図には浴場があったから、お湯をもらいに行こう」
「♪~~~~」
ナルジャはその言葉にご機嫌だ、水浴びや湯船につかるのが好きなナルジャだが、旅の間は川とかで自由に川で泳がせてやることができない。少しなら平気だとは思うが、尾針の毒が漏れ出したらと思う、恐怖でしかない。トッド君に巻き付いたときみたいに尾針や爪などを隠していたとしても、漏れ出てくることはあるのでみなと同じお風呂というものは難しい。
それにしてもドラゴン族はお風呂が好きな種族なのだろうか。俺たちが築く街の図面を開き、キブリーたちと話し合っていた時もお風呂や大浴場の話になった時にナルジャが俺たちの会話に何とか入り込もうとしていた。結果、ナルジャ用の区画をわざわざつくる改修を余儀なくされた(1名の邪なたくらみを阻止できたのは幸いだった)。
せっかく部屋に入ったばっかりなのに、すぐに外に出る羽目になるとは、ベッドに腰を掛けるべきではなかった。立ち上がるのが億劫で仕方がない。
意を決し、やっとの思いで立ち上がった俺に対してナルジャの目線が突き刺さる。もっと早く動けと言いたいようだ。
「はぁ~」
ため息をつきながら扉を開き、外に出るとちょうど同じように隣の部屋の扉が開き、中から人が出てきた。
「こんばんは」
「こんばんは☆」
そう言って一人の元気溌剌な女の子が出てきた。
「おじさん、どうしたの、なんかサゲサゲな感じだけど?」
「ははは、今着いたばかりで、まだ疲れているんだけど、ちょっとナルジャ、いや、うちのこの湯あみにいくことになってね」
「へぇー、そうなんだ、おじさんのペットってどんな子?」
「ああ、今から、って、おい、ちょっと、押すな、いた、いたいって」
扉の前で止まっている俺の脇から体をこすりつけるように抜けるとものすごいキリっとした目力を話しかけてきた女の子に向けた。
「うっわ、何その子!ちょ~、可愛いんだけど、キラキラじゃん、何っていう種族なの?」
「銀鼬だけど」
「えっ、マジ!銀鼬って、そんなになるの、うわ~、仲間にしておくんだったかな~」
「仲間にって、ビーストテイマーのテイムには限度が・・・」
そういうと女の子の後ろから数体のモンスターが現れた。
「えっ、いや、すごいな、一流のビーストテイマーだって、2体が限度なのに」
「へへ、すごいでしょ、ってか、この子たち超かわいいでしょう~」
そう言ってモンスターたち目掛けて飛び込む女の子をモンスターたちはみんなで固まって受け止めている。基本種族が違うと喧嘩することが多いはずなのに。
「すごいな、みんな君のことが好きなんだね、えっと仙猫、鞭蠍、餅猿、河鯨、それに食人花って、すごいバリエーションだな」
「でしょ~、てか、そのダサい言い方やめてよね。そしたら、おじさんに特別に紹介を見せてあげるね」
「いやいや、大丈夫だよ。」
「長い爪にはバエないネイルはない、ニャッチー」
「ニャ、ニャ~!」そういうと二足歩行の仙猫は隠していた前足の爪を延し、切り刻むようなポーズを決める。
「かっちんこっちんの外殻にラメがきらり、チョッキ―」
紹介された大きなザリガニのような蠍は大きな鋏を上に突き出す
「長い尻尾にぷりぷりお肌は全女子の憧れ、モッチー」
そういうと長い尻尾で立っているぷにぷにした小柄な猿が自分の小さな手を顔に当ててウィンクする。
「ふわふわのおなかは最高のクッション、グッジー」
そういうと四つ足の鯨が潮を吹く
「最後にいつも笑顔でみんなを直してくれる、ケラッチ」
そういうと根っこで動き回る球根に口があり、模様が人の顔のように見える。にやりと笑う、球根の先には花が三つスズランのように垂れ下がっている
「そして、最後にセンターのあたしが、超絶可愛いいビーストテイマー、アグネスよ!」
「おおおおお」
思わず拍手してしまった。すごい統率が取れていて、全員のフォーメーションが見事。しっかりと訓練されていることが分かる。
「うそっ、まじ、やった☆褒められた。パーティーのみんな褒めてくれないのに」
「いやいや、なかなかすごいよ。」
「やっぱしぃ~わかる人にはわかるってね、おっさんやるじゃん」
「ははは、そんなにおっさんかな、まぁ、いいや、俺はデリック、こっちはナルジャ」
「りょ、ナルナルね、ね~、ナルナルの友達いない~、あたしも銀鼬ほしい~」
「?まだテイムする余力があるのか。」
「まぁ~ね~」
そういうアグネスはまた違う決めポーズをとる。なんというか、すごいなそれは。そんなこんな話が盛り上がっていると
「ああ、ったく、さわがしいな~」
「・・・・あのー、もうすこしー。静かに~」
俺たちの騒ぎに両端の宿泊者たちも外に出てくるのだった。




