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133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 2

 私は今見えるものが現実のものかを姫様に確かめる。


「姫様、その犬は……?」


 聞くと、相変わらずの屈託のない笑顔で答えた。


「わたくしの使い魔のピウスです。とってももふもふで愛らしくてかわいいんですよぉ~♪」

「使い魔! そ、そうですか……」


 姫様のことだから使い魔にするならとんでもないものにするだろうと思っていた。それにしてもまさかケルベロスとは。というか、その子をベルンに連れ帰って大丈夫なのか?

 翻って私の使い魔を見てみよう。肩の上でちゅんちゅん鳴く愛らしさたるや世界一。好物のフィンガーライムを手のひらに乗せると、小さな嘴でつんつんつまんで食べるのだ。

 今日はこれから朝食なので、机の上に撒いて食べてもらおう。

 気を取り直してさっそくいただきます。すると背後から元気いっぱいの張りのある声で挨拶をする者が現れた。少し違和感がある。元気いっぱいなわりに声量が小さいような。ずいぶん遠くから挨拶をしたような違和感がある。振り返ると、15センチほどの小さなお人形がふわふわと宙を浮いてるではないか。

 背中に光る花の羽を背負った少女が5人。金髪碧眼さらさらストレートヘアが特徴的な小柄な少女が1人。背の高い、真っ赤に濡れた赤い髪の女性は嘘が見抜けるというセチアさん。


 知らない人と言えど、挨拶されたなら返すが礼儀。

 振り返り、コンパクトに立ち上がって会釈する。


「おはようございます。初めましてですね。私はソフィア・クレールと申します。どうぞよろしくお願いします」


 全員に向かって会釈をする。最初に返ってきた挨拶は宙に浮く人形からだった。


「おはよう! それから初めまして! 私はローズマリー。ローズマリーのお花から転生したフェアリーだよ。もしかして、みんなはルクスの家族?」


 みんな、と呼んだ彼女の視線は私の後ろに注がれる。振り向くと、小さな人形たちに興味津々の姉妹が瞳を輝かせて期待の眼差しで固唾をのんでいた。

 向き直って、深呼吸して、私の中で暴れる少女の部分を抑えて答える。


「そうだよ。彼女たちは私の大切な姉妹なの。右から順番に、フィーア、デーシィ、グリム、ティア。仲良くしてくれると嬉しいな」

「もちろんだよっ! 私たちも自己紹介しなくちゃ。それじゃ、月下から」


 月下と呼ばれたフェアリーはローズマリーの隣に並び、ついでほかのフェアリーたちも横一直線に並ぶ。金髪碧眼の少女と、赤髪和服美人も隣に並んだ。


「私は月下と言います。月下美人から生まれたフェアリーです。大好きな食べ物は焼き芋ですっ!」

「わたくしは赤雷。赤い彼岸花から生まれたフェアリーです。大好きな香りは鈴蘭です」

「わたくしは白雲。白い彼岸花から生まれたフェアリーです。大好きな香りは白百合です」

「バーニアはね、バーニアって言うの。バニラのお花から生まれたフェアリーなの。大好きな香りはバニラ!」

「リィリィはリィリィって言います。よろしくお願いします」

「私はセチア・カルチポア。蝶と太陽のギルドの堺目に住んでいて、工房を持っております。フェアリーたちが集めてくれたアロマオイルで石鹸やバスボムなどを作ってますので、よろしければぜひ、遊びにいらしてください」

「「「「「ぜひっ!」」」」」


 脊髄反射的に声が出た。仕方ない。フェアリーが集めたアロマオイルで石鹸が作れるっていうんだから、こんなの刹那で反応してもおかしくない。

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