異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 73
~おまけ小話『影が薄い人たち』~
ミレナ「誰が影が薄いんじゃーい!」
アーディ「自覚はあるんですね」
ミレナ「だってしょうがないじゃん! あたしたちみたいな技術職はそれ専用の話しにならないと出番がないんだから!」
アーディ「ミレナさんはいいじゃないですか。華恋と時計談義ができて。俺なんかカブトムシが頭に乗っかったくらいしか思い出ないですから」
ミレナ「――――レオさんも影薄いですよね」
レオ「完全に巻き込まれ事故! 俺はクロちゃんと一緒にいたからほとんど画面外だっただけだから。こんなこと言いたくないけど、クロちゃんがいたらたいへんなことになるでしょ」
ミレナ「たいへんなことになると思う。ので、レオさんはクロといちゃいちゃしてください」
レオ「オーケー!」
アーディ「影が薄かろうがなんだろうが、どっちでもいいじゃないですか」
ミレナ「ひがまないひがまない。ほかに影が薄い人いないかな~」
アーディ「なんで探すんですか?」
リリス「影が薄い人ならここにいまーす♪」
アーディ「なんで嬉しそうなんですか……」
リリス「出番がやってきたからですよ? シャルロッテちゃんを目立たせるために極力控えてましたっ!」
暁「本音は?」
リリス「私が着の身着のまま行動すると、きっとたいへんなことになっちゃうだろうからでーす♪」
暁「リリス姫にはそのままおとなしくしておいてもらいましょうか」
ミレナ「いったいなにをやらかすの?」
暁「まず間違いなく子供たちと遊び倒しますね。リリス姫は人と関わるの大好きですし。子供好きでアウトドア派ですから、山に川に海に出向いて子供たちと遊び、家に転がり込んで飯を食い、川の字になって無防備で寝るなんてことはあたしが簡単に考えられることなので、十中八九、あたしの想像を越えてくるでしょう」
ミレナ「怖っ!」
リリス「行動力の化身ですからっ! ふんすっ!」
ミレナ「それを自分で言っちゃうところが余計に怖い」
リリス「ほかに影が薄いと言えば初登場のティアさんですよ。というわけでどうぞ!」
ティア「初登場なのに影が薄いって酷すぎじゃね?」
ミレナ「普通に酷いな」
アーディ「影云々以前の問題じゃん」
ティア「えー、急に話しを振られてもなー」
リリス「力が強いって言ってましたけど、握力はいくらくらいなんですか?」
ティア「具体的な数値は計ったことないよ。拳大の石を握ると抵抗なく粉砕できるくらい」
ミレナ「普通にやべーな」
ティア「だから壊す以外のことができないんだよぅ。こんなに不便とはっ!」
暁「モンスターとかも握るだけで圧殺できるなら冒険者として活躍できそうだな。掴めば倒せるわけだし」
ティア「そりゃまぁそうなんだけど」
アーディ「そうなるのか」
ティア「握力を人並みに下げられるマジックアイテムでもあったらいいのに」
アルマ「ぴこーん! アルマに天啓がフォールンダウンしてきましたよこれーッ!」
暁「急にどうした。華恋に無茶振りされた件か」
アルマ「最初は星●●の養成ギプス的なものを考えてました」
アーディ「恐ろしいことを考えてたな」
アルマ「もっとスマートかつ魔法的なあれこれでなんとかなりそうな気がしてきました!」
暁「アルマのことだから、そもそもマジックアイテムを作ってくると思い込んでたわ。結局、マジックアイテムに落ち着いてくれてよかった。どんなものになるかはともかく」
ティア「なんか今、不穏なことを言いました?」
アルマ「ともかく、明日には仕上げてみせますのでお楽しみください!」
ティア「ありがとう。期待しないで待ってるよ」
華恋「期待してあげてください! アルマ含め、みんな凄腕の職人さんですから!」
ティア「ぅ、ぅん。ごめん」
アルマ「ぷ、プレッシャーが半端ねえぜっ!」
暁は死に、ローザは抱腹絶倒、すみれは楽しいパーティーができて大満足。
シャルロッテ姫様はなし崩す形でソフィアに侍女に戻ってもらえることになって万々歳。
なんだかんだでなんとかなった彼女たちはきっと今日もいい夢を見ます。
次回はソフィア主観のストーリーです。失恋の傷を癒すため、フェアリーがいるというメリアローザにやってきたクレールシスターズ。フェアリーたちのかわいさに触れることで、彼女たちの心の傷を癒すことができるのでしょうか。




