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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 69

 嫌々ながらも、セチアさんに申し訳ないと思いながらも、シェリーさんは己の立場からくる義務を全うする。


「セチア、すまないんだが、ソフィアと姫様が嘘をついてないか確認してもらえないだろうか」

「いいですけど、どうしてまたそんなことに?」

「すまない。詳細は、聞かないでくれ……」

「はぁ……。それでは始めましょう」

「ありがとう。恩に着るよ。ソフィア、『私が姫様に謝ってほしいと思う原因の出来事は真実です』と、セチアに向かって言ってくれ」

「わ、わかりました」


 セチアさんがどういう人かわからないソフィアさんはシェリーさんの言う通りにした。

 結果はいかに。


「彼女、ソフィアさんですよね。彼女の言葉は真実です。相当にお怒りのようですが、いったいなにがあったのか、聞いてもよろしいですか。私でよろしければ相談に乗りますよ」

「ありがとうございます。でもこれは姫様に思い出してもらって、姫様から心から謝罪してもらえれば解決するので」

「そうですか。しかし、本人が目の前にいて謝罪してもらえないというのは、なにかわだかまりが?」

「いえ、本人が綺麗さっぱり忘れてるだけです」

「それは、ご愁傷様です……」


 忘れてるのではどうしようもない。言葉にして思い出してもらうしかない。それでも思い出せないとなると、ソフィアさんは永遠に姫様の侍女には戻らないということ。

 つまり、侍女に戻ってほしいと本気で願うなら、記憶を取り戻せるに違いない。

 シャルロッテ姫様、頑張って!


「――――――――思い当たる節が多すぎて分からない」


 これはダメそうだ。

 というか、そんなに迷惑かけてらっしゃるんですか。そりゃ侍女に戻りたくないと思っても仕方がない。だが、ソフィアさんからしたら謝ってほしいことはひとつだけらしい。ソフィアさんはなんて心の広い女性だろう。

 と思っていると、ソフィアさんが溜息をこぼした。


「本当なら謝ってほしいことは山とありますが、今回はひとつをのぞいて全て水に流します」


 やっぱり心の広い人だなあ。尊敬しちゃうなあ。

 それはそうと、このままでは姫様が自発的に記憶を取り戻すことはできなさそう。

 ここは意を決して直接伝えるところではなかろうか。


「ソフィアさん、ソフィアさんから具体的に伝えたほうがよろしいのではないでしょうか。姫様の記憶がないみたいなので、現場を再現してみるのも手かもしれません」

「現場を再現!?」

「えっと……姫様も謝るべきことは謝ることのできる謙虚で誠実な方だと思います」

「それは……後半の部分に関しては重大な疑義があると思う」

「それどういう意味!?」


 姫様大激怒。だけどソフィアさんの冷めた視線に冷やされて口をつむぐ。

 静まった姫様を見て、ソフィアさんが言葉を続ける。


「ひとまず、この話しはキキちゃんたちの前ですることではないので後回しにしましょう」

「そんなこと言われたら余計に気になるじゃない!」

「だーかーらー! 小さい子供の前でする話じゃないんですってば!」

「キキたちの前でする話じゃない。まさか――――横恋慕?」

「どこでそんな言葉を覚えたの?」


 キキちゃんは勤勉なので、きっとどこかで覚えたのでしょう。

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