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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 67

「ソフィア、無理でないならシャルロッテ姫様の侍女に戻ってもらえないだろうか。姫様は本当に君のことを慕ってるんだ。まぁ、いろいろとやらかしてるみたいだから、思うところはあるだろうが……」


 シェリーさんの歯切れが悪い。姫様、ソフィアさんになにをしてきたんですか?

 頭を下げるシェリーさんに、ソフィアさんは溜息をついた。


「慕ってくださるのは素直に嬉しいです。姫様の傍若無人な振る舞いも、今となってはいい思い出です。ただ、たったひとつ、どうしても許せないことがあります」

「許せないこと……?」


 ソフィアさんは疑問に思うシェリーさんに小さな声で耳打ちした。

 すると、お風呂に入ってるというのにシェリーさんは顔を真っ青にする。同時に、姫様をカスかクズを見るような目で睥睨した。

 事情に納得したシェリーさんは姫様にひと言だけ呟く。


「姫様、とりあえず謝っておきましょう」

「なにをですか?」

「…………………………」


 姫様のきょとん顔を見た二人は無邪気な無礼の化身をゴミ人間かクズ人間を見るような目で見下した。

 いったいどんな酷いことをされたのだろう。怖くてとても聞けない。


「ソフィアさんはシャルロッテ姫様になにを謝ってほしいの?」


 小さな無邪気の化身がいったーッ!

 キキちゃんのきょとん顔にソフィアさんとシェリーさんが困惑。とても子供に聞かせられるような話しではない。ブラウンデビルを退治するためだけに、ソフィアさんの指と精神が犠牲になったなんてことはとても言えない。

 さらに悪いことに、キキちゃんの背後に顔を真っ青にしたヤヤちゃんが立っていた。しかもその手には、お盆に乗せた温泉饅頭がある。抹茶味の温泉饅頭。茶色のふわふわお饅頭。

 ヤヤちゃんはユニークスキルを使って会話の内容を盗み見て、さも知らないふりをして相手の会話の急所を突き、『ヤヤちゃんすごーい』と言われたかったのだ。

 だから姫様のソフィアさんに対する悪逆非道を知ってしまった。ユニークスキルで盗み見てしまった。

 ついでに、ソフィアさんが謝ってほしい事柄の全てを、姫様が全く覚えてないということも認識してしまう。

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