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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 66

 他にも気になることがある。ソフィアさんがシャルロッテ姫様のことを横目でちらちら見るのだ。話しによると、姫様の純真無垢な行動に振り回されるから、侍女の仕事を再び受けるつもりはないみたい。それならば、キキちゃんとヤヤちゃんがソフィアさんのことを慕ってるので、うちでホームステイしながらグレンツェンで勉学に励んでみるというのはどうだろう。

 きっとソフィアさんのためになるはず。

 なにより、楽しい仲間が増えるのは嬉しい!


「ソフィアさん、もしよければグレンツェンに引っ越しませんか? グレンツェンでならきっとやりたいことが見つかるはずです。一緒に暮らしてみませんか?」


 伝えると、彼女は驚いた表情を見せてフィーアさんとシャルロッテ姫様を見た。分かってる。ベルン騎士団員に戻るつもりのフィーアさんと離れ離れになってしまう提案をした。仲良しのシャルロッテ姫様とも疎遠になってしまう。

 だけど、新しい一歩というのはどこかで踏み出すものなのです。

 返答やいかにっ!


「申し出はすごく嬉しいけど、フィーアを一人にするわけにはいかないから」

「なんかそれ、あたしが乳離れできないみたいじゃん」

「そういうわけじゃないけど、一人暮らしをするフィーアが想像できない」

「それを言われると言葉に詰まる……」


 どうやらフィーアさんも一人恐怖症らしい。私と同じだから親近感がわく。

 フィーアさんともホムパがしたい。フィーアさんとソフィアさんの好物はなんだろう。聞こうとして一歩前へ出ようとすると私とフィーアさんたちの前に大きなイルカさんがジャンプして割って入った。

 否、イルカではなく温泉にダイブして水しぶきを上げたシャルロッテ姫様だった。

 大人げもなく、人の迷惑も考えず、姫様は温泉ダイブしてすぐさま立ち上がり、ソフィアさんに抱きついて懇願する。


「もう我慢できません! ソフィア、お願いだから戻ってきて! 貴女と過ごす日々がすごく楽しいの。そりゃ、迷惑をかけたこともあるし、苦労をかけっぱなしで、それは、まぁ、申し訳ないと思ってるけど……」


 言葉が濁る。本当に申し訳ないと思ってるのかどうか疑問だ。ソフィアさんの表情が物語る。何言ってんだ。そんな変顔をしてあごの裏を見せた。

 姫様はソフィアさんの表情を気にも留めずに言葉を続ける。


「今までのことは謝るから、どうかわたくしの侍女に戻っていただけませんか?」


 姫様の上目遣いが炸裂。

 甘え声で懇願する。

 がッ!

 謝ると言っておきながら、ソフィアさんにとって最も誠意をもって謝ってほしいことをシャルロッテ姫様はお忘れあそばされている。

 それはかの日、変装してグレンツェンにお忍び散歩に出かけた時。どういう経緯かで用意されたタクシーという名のモンスターカーに乗せられた。そこでソフィアさんは姫様の信じられない傍若無人の犠牲となる。

 姫様のお腹の中で暴れる後門のブラウンデビルを力技で処理させられたことだ。

 それを鮮明に思い出したソフィアさんは姫様をカスかクズを見る目で見下ろした。

 ここで姫様の助け船が現れる。シェリー騎士団長が温泉に足をとられながら歩いてくる。

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