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自称、できる女 2

以下、主観【ラファエル・ベルン】

 ぷりぷりと顔を真っ赤にして、渋々部屋へ帰っていく娘を見て親は思う。

 本当はもう少し自由に遊ばせてあげたかった。

 次期国王の彼女には、市井の暮らしをその目で見て、触れて、感じて、知っていて欲しかった。

 そうすれば国に愛着が湧く。

 だからこそ、王族として心から尽くしたいと思えるはず。

 彼女にはその資質がある。そうして、護衛のソフィアや替え玉をしてくれていたジェイクにも無理を言ってきた。セバスには娘のサポート役として無理をさせたものだ。


 せめてあと2年くらいは世間に触れていて欲しかったものなのだが、それもここまでか。

 市長のヘラ氏にだけならともかく、騎士団長のシェリーくんや一般人にも素性がバレてしまってはどうしようもない。

 ここが潮時だ。仕方のないことなのだ。


 しかし反面、嬉しいこともある。

 今までは会食や社交パーティーなんかも、その殆どは替え玉のジェイクが出席した。

 なにせシャルロッテは貴族のボンボンが大嫌いなものだから、積極的に欠席する。

 それはいいのだけれど、親としては数少ない娘と一緒にいられる時間を、姿形はそっくりなだけの別の人間と過ごさざるをえない。


 お忍び散歩を容認した時から覚悟はしていた。実際にその時になってみると寂しいものだ。

 肩に手を置き、優しい言葉をかけてみるも、それは別人なのだから。

 だけど今日を限りにこれからは、暖かい心で言葉をかけられるだろう。親としてこれほど嬉しいこともない。


 それにしても、ここまで尽力してくれた3人には感謝しかない。国王の命令と言えど無茶をさせてきた。

 セバスには老体に鞭打って、あれやこれやとさせてしまった。

 ジェイクには命がけの替え玉をお願いした。

 最後の砦のソフィアにはいつも神経を使わせた。

 みんな姫様のためとあらばと傅いてくれることのなんと頼もしいことか。

 おかげでシャルロッテは見違えるほどに成長した。日に日に大人になっていく彼女を見ると、親の手を離れていくようで少し寂しげな気持ちになる。

 だからこそ、彼女の背中が大きくなっていく様はとても頼もしく感じる。


 いつの日か、この座を明け渡す日が楽しみだ。

やんわりと怒りながらも娘の良いところを伸ばそうとする父親の姿勢は見習いたいものです。

そんな親バカに見守られながら彼女はわりと自由な人生を謳歌していくことでしょう。


次回はすみれのひと声でうっかりと毒物を持ち込んでいたことがバレたケビンのお話しです。

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