異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 50
ソフィアさんの納得のひと言に、隣に座ったリリス姫が合いの手を入れる。
「さっきまでひよこ鑑定士の勉強のために養鶏場に行って雌雄の判別をなさってたんですよ。私もさっきまでひよこまみれになってましたー♪」
「ひよこまみれ?」
「草原に寝そべって、体中にひよこがぴょんぴょん飛び乗ってきてとってもくすぐったかったです♪ こんな経験はメリアローザにこないとなかなかできません。とっても楽しかったですよー♪ ちっちゃくてよちよち歩きのひよこちゃんたちがぴよぴよ歩くんです。見てるだけで癒されますよー?」
「ひよこぴよぴよ。いいですね!」
ソフィアさんのガッツのポーズにキキちゃん、ヤヤちゃん、リリス姫がガッツのポーズと満面の笑みで返す。
これを見たシャルロッテ姫が両手を天に突きあげた。
「わかりました! わたくしの部屋にひよこを放ちます。わたくしの部屋でぴよぴよしてください!」
「いえ、いいです。ひよこぴよぴよは牧場でやるからいいんですよ」
「どうしてそこまでしてわたくしの侍女に戻るのが嫌なんですか!?」
「自分の過去の行いを反省してから言ってください」
「――――――――?」
「イラっ! ふんっ! キキちゃん、ヤヤちゃん、こんな自己中心的な人間になってはいけないよ?」
「「ふわぁー。はい」」
「肯定しないでっ!」
姫様のストレスマックス。こんな時には私の出番!
「みなさま、ディナーの準備が整いました。いろんな料理を作れるようにしてますのでなんでもおっしゃってください。ひとまず、ルクスさんたちご所望のドラゴンステーキです!」
「「「「「「おおぉっ!」」」」」」
「ん? ちょっと待って。ステーキは頼んだけどドラゴンとまでは……」
「いいんです。こういう時のためのお肉です。それにルクスさんたちにはたくさんお世話になってますから、感謝の気持ちを込めて、ですっ!」
「すみれちゃんありがとおおおおーーーーーーーーうっ! 大好き!」
ルクスさんに嬉し泣きしてハグしてちゅーされるほど喜んでもらえて嬉しいです。
じゅうじゅうと音を立てて人類の食欲を強烈に刺激するそれはドラゴンステーキ。
おキノコ仙人様と交換していただいたスペシャルデリシャス―ミートなのです。
こんな時に食べなくてどうしますか!
代わりにルクスさんたちの話しを聞かせてもらいたいな。
「もしよろしければ、みなさんのお話を聞いてもいいですか? 一緒にご飯が食べたいです」
「もちろんいいよー。一緒に飲んで食べよう!」
「そっさくですが、お酌をさせていただきたく」
「いいの? ありがとう! あ、でもちょっと待ってね。すぐに空けるから」




