異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 45
むむむっ!
一人でバーニングしてるとフレナグランの外から見知った気配を感じた。ここにいるはずのない人たちの、悲しみと哀れみと沈黙と、だけど後悔のない清々しいまでの失恋の気配。俯いても前を向く力強い意思の力。未来への希望を忘れない心の強さを感じるっ!
「暁さん、フレナグランの外に誰かいます! 強烈な失恋のパワーを感じますッ!」
「失恋のパワーッ!? ってなんだ!?」
私の大声にみんながのれんの向こう側を注視する。すると、のれんの近くに6人の影が現れた。彼女たちだ。猛烈な失恋のパワーをひっさげて、それらを暴飲暴食で解消しようとする気配。食べるの大好きだから分かる。
これからパーティーの予感ッ!
勢いよくのれんを押し上げて現れたるは元気いっぱいのルクスアキナさん。背後にはルクスさんと同じ顔の人たちが並ぶ。クレールシスターズだっ!
「あっかつきちゃあああああああああああああんッ! お肉とお酒、あるだけ食べさせてええええええええええええええッ!」
「うおおおおおおおおおッ!? ルクス、お前、もう帰ってこないって言ってなかったか!?」
「もう帰ってこないつもりで粉骨砕身するって言ったんだよおおおおおッ! 失恋したからお肉食ってお酒飲んで嫌なことを全部忘れるのだ! 失恋シスターズはお肉とお酒が欲しいよーっ!」
「失恋シスターズっていう名前はやめてッ!」
奇跡!
ルクスアキナさんが現れた。家族で旅行に行ってるってことだからか、彼女の家族も一緒に現れた。グリムさん、ソフィアさん、騎士団員のフィーアさん、占い師のデーシィさん。明るいオレンジ色の髪をしたツインテールの女性は初めましての人。
大好きな友達を見つけたなら駆け寄って挨拶をしなくては。
初めましての人とは友達にならなくてはっ!
「お久しぶりです、ルクスアキナさん。みなさまもお久しぶりです。今日はお肉とお酒ですね。ということはつまり、パーティーですねっ!?」
「そうよもうそれはせいだいにお肉にお酒にお酒にお酒よ! おいしいもの食べて嫌なことは全部忘れるのよーっ!」
「暁さん、そういうことだそうなので、お肉とお酒のパーティーです!」
「それはいいが、飲みすぎ食べすぎには気を付けてくれ」
「「ひゃっほおー♪」」
ルクスさんとハイタッチ。
ついでに流れでみんなとハイタッチ。
が、どういうわけか初めましての人はハイタッチしてくれなかった。
素直にショック!




