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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 42

 サンジェルマンさんが手をかざし、手のひらの中で小さな魔法陣を生成して水晶に込めた。

 込めてすぐに水晶の外にはじき出された。


「なるほど。つるっと滑った」

「つるっと滑っちゃうんです。どうしましょう」

「うーん……」


 ひとつ唸ったサンジェルマンさんは濃密な人生経験から答えを導きだそうと試みる。

 魔法。水晶。魔法陣がつるっと滑る。物体の中に魔法陣を固定したい。宝石魔法。鉱石の組成。魔法の定着。マジックアイテム。魔力の流れ。

 様々な情報を統合した結果、ひとつの可能性にたどり着いた。


「エルドラドの水晶鉱床」

「「「「「水晶鉱床?」」」」」


 我々の疑問符を受けたサンジェルマンさんは小さく頷いて水晶に向き合う。


「水晶鉱床の龍脈は複雑に絡み合っている。しかし、ほとんど全ての龍脈がお互いを引き締め合うようにして固定されるという、極めて珍しい構造だった。これもそれと同じように複数の魔法陣を組み合わせてみたらどうだろう。つるっと滑る魔法陣同士を組み合わせて固定できないだろうか」

「なるほど! その手がありましたか! さっそくやってみましょう。善は超急げ、です!」


 超急ぐアルマはサンジェルマンさんから水晶を受け取って同じ魔法陣を十字に組んで水晶へ入れる。が、つるっと滑って魔法陣が解けてしまう。

 負けず嫌いのアルマは二度、三度と挑戦。四度目には魔法陣を3個、五度目には5個同時に組み合わせた。が、全て滑って解けてしまう。


「うがああああああああああッ! なんかもうちょっとでうまくいきそうなのにあわううあああああああおおおああああああああッ!」

「荒ぶってるなあ……」

「ははは。そんなに急ぐこともないよ。それにしても華恋くんも宝石魔法に興味があるのかな? ステラ・フェッロにも興味があるということだから、もしよければアルマくんと一緒にレナトゥスに来てみないかい? きっといい経験になると思うよ」


 なにげない仕草でしれっと華恋を勧誘した。これに反応したのはミレナさん。彼女と一緒に仕事がしたいミレナさんが華恋の前に立ちはだかる。


「あ、サンジェルマンさんまで華恋を勧誘するんですか? いけませんよおー? いくらサンジェルマンさんとはいえ、華恋はあげませんからね!」

「いやいやあー、それは華恋くんの自由意思だと思うけどなあー♪」


 板挟みになる華恋は困った様子で仲裁に入る。


「お二人とも、落ち着いてください。サンジェルマンのお誘いはありがたいのですが、私は魔法の造詣は深くないです。なので私の分までアルマを贔屓してもらえると嬉しいです」

「そう言われては仕方ない。でも気が向いたらいつでもおいで。君にとっていい経験になることは間違いないだろうから」

「ありがとうございます。ところで、アルマ。そろそろフレナグランに戻りたいんだけど」

「ぐぬぬぬうっ! あと少し。もう3時間くらい挑戦させてくださいッ!」

「うん。ダメ。ごめんなさい、ディザさん。今日はこれで」

「ああ、また来てくれ。俺も楽しかったよ」

「ええ、必ず」


 むむっ!

 わたしの恋色センサーが強烈に反応した。

 なるほど。華恋の想い人は彼なのか。男らしい男。筋肉質だが均整のとれた体格。顔つきも普通寄りのイケメン。見た目からして頼もしい印象がある。こういう男がタイプなのか。真面目な華恋にぴったりの相手。

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