異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 40
スプラッタを見てしまった面々は暁さんほど心臓が頑丈にできてないので、機を見計らって解散の流れとなる。
このあとはどうしようか。できればハティさんに医療系魔法を教えてもらいたかった。それはまた今度でいいか。
病院は見学した。セチアさんの工房も満喫した。フラウウィードでしっかりとお土産も購入。お昼から温泉もいいけど、今入るとご飯食べてまたお風呂になるからパス。ほかに足を運んでないところと言えば…………。
パッと頭に浮かんだのは華恋の引率で工房見学をするミレナさんとアーディさん。職人の彼らが向かう鉄と油の世界を見たことがほとんどない。
職人の仕事に興味がないと言えば嘘になる。畑違いとはいえ、職人魂には熱いものを感じる。アルマに頼んだら工房を案内してもらえるだろうか。
「ねえ、アルマ。もしよかったら工房を案内してもらえないかな。ミレナさんとアーディさんがいるところ」
「え!? それはいいですけど、意外ですね。ローザさんが工房に興味があるなんて」
「おそらく自分が最も興味がないだろうところだと思う。でもだからこそ、なにか新しい発見があるかも」
「な、なんとっ! そういうことでしたらアルマにお任せください。ひとまず華恋さんに連絡をとって合流しましょう。ほかにアルマたちと一緒についてくる人はいますか?」
アルマの声に手を挙げたのはペーシェとサンジェルマンさん。
「ペーシェと一緒か……」
「どういう意味じゃい!」
「まぁ、つっこみ役がいたほうが便利かも」
「どういう意味じゃいッ!」
「まぁまぁそのへんで。ほかに参加者がいないなら僕たちだけで出発するけど、みんなはどうだろうか?」
「あっ、わ、わたしもついて行っていいですか? 工房に興味があります」
最後に手を挙げたのはベレッタさん。きっと彼女は工房よりもアルマに興味があるのだろう。
アルマは喜んで飛び跳ね、それではと踵を返して華恋がいるという工房へ向かう。
ダンジョンのある薔薇の塔をあとにして、我らはミレナさんたちのいる工房へ足を運んだ。




