異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 39
フラウウィードに場所を移してティータイムの続きを始める。
もはやティータイムっていう空気ではないが。
最初に口を開いたのはインヴィディアさん。暁さんが目の前で死んだところを初めて見た彼女は、本人が自称する『不死身』という言葉を信じざるをえなくなってしまった。
「まさか本当に不死身だとは思わなかったわ。なにかしらの言い回しだと思ってた」
インヴィディアさんの言葉に共感したわたしたちはうんうん頷いて彼女の言葉を待つ。
待つというほど待たずに暁さんは照れた様子で笑顔を向けた。
「いやー、あたしがそんなところで嘘を吐くわけないじゃないですかー♪」
「そうじゃないところでは平気で嘘吐くって聞こえるんですけど?」
「そう聞き取ってもらって構わない。無論、商売の交渉の時だけだがな」
「そ、そうっすか……」
相変わらず聞きづらいところにつっこむペーシェには助けられる。
暁さんについては、生きてたからいいものの、不死身じゃなかったら普通に死んでた案件について真剣に考えていただきたい。
母さんは元医療術者として、友人として大切な話しをする。
「暁ちゃん、本当に体は大丈夫なの? 本当に不死身なの?」
「体はもうすっかり大丈夫です。本当に不死身です。いやー、お見苦しいものを見せてしまって申し訳ございません。ほらほら、ハーブティーもスイーツも、満足するまで堪能してください」
「もうそんな状況じゃないんだけど……」
「ですよねー。ちなみに、不死身の人間が復活するところを間近で見た経験はみなさん、今回が初めてですか?」
「「「「「あたりまえでしょ」」」」」
「そうですか」
暁さんは全員からの総ツッコミにあっけらかんと答える。
異世界では普通のことなのか?
念のため、アルマに聞いてみよう。
「メリアローザでこういうことって普通にあるの?」
「あるわけないじゃないですか。こんなことほかの人たちに知られたら、いつも通り命を粗末にするなって大激怒されますよ。毎回のことですけど」
「毎回のこと……」
「とはいえ、夢だった動物もふもふができて、暁さんの幸せそうな表情が見れてアルマ的には眼福です。とにかく、終わったことはもうどうしようもないので晩御飯の話しでもしましょうか」
「そういうノリになっちゃんだ……」
慣れって怖いわあー……。
これ、絶対に慣れちゃダメなやつだと思うんだけど。
でもまぁアルマの言う通り。終わったことはどうしようもないので考えるのはやめよう。




