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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 38

以下、主観【ローザ・ヴォーヴェライト】

 暁さんが死んだ。死亡診断には三つの要件がある。

 呼吸の停止。

 脈拍の停止。

 瞳孔拡大。

 このうち最後のひとつについては顔が炸裂してるので診断不能。

 突然のことすぎて頭が回らない。野戦で傷病者の手当ては慣れたもの。だけど、目の前で人に死なれたのは人生初。呆然として思考が止まる。


「母さん…………どうしよう……………………」


 聞くも、母さんも顔が真っ青になって呆然と立ち尽くす。

 素敵なスイーツタイムから一転、地獄の現場と化してしまった。大人も子供も呆然自失。慣れた人以外は。慣れたハティさんは溜息をついて肩を落とす。


「暁はよく死ぬ。心臓に悪い。私の心臓が止まりそう……」

「暁はよく死ぬッ!?」


 まるで何度も死んできたかのような言葉遣いをハティさんが口走った。

 続いてアルマがストーンウォールで現場を隠しながら肩を落とす。


「今回ばかりはうっかりがすぎますね。ポーラちゃんが抱けると思って気持ちが緩んだんでしょう。子供たちの前で死ぬのはやめていただきたい。トラウマになったらどうするんですか」


 さらにキキとヤヤがアルマに続く。


「うわぁー、今回は派手だなあ」

「でも肉がほとんど残ってるから、復活するまですぐだよ。ほら、もう復活した」

「いやー、死んだ死んだー。三カ月ぶりくらいに死んだ気がするー」

「「「「「ッッッッッ!?」」」」」


 ドン引きッ!

 生き返ったッ!?

 どういうことですかッ!?


 言葉が詰まりすぎて叫び声が喉につっかえた。

 まるで何事もなかったかのように、それが当然の、自然の節理のような顔をして机に戻ってハーブティーを飲み、罪悪感に苛まれながらも目の前で起きた出来事が理解できないポーラちゃんを抱きかかえ、当然のようにもふもふする。

 その間、ペーシェは小川までダッシュして胃の内容物が空になるまで吐き戻した。


 ありえない光景を目の当たりにした我々は、呆気にとられる子供たちの心を心配して、なにかしらの見間違いということにして足早にその場を去った。

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