異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 35
とにかく今はあま~いバクラヴァを堪能してもらおう。さいあく、チーズの入ったバクラヴァはあたしたちが持って帰ろう。
クラリスにハーブティーを注いでもらい、カップが行き渡ったところで乾杯をした。
子供たちは一目散に目の前のスイーツを手に取る。口に入れて噛みしめたら、あま~いはちみつがじゅわりと口いっぱいに広がって幸せな表情を見せてくれた。サクサクに焼き上げられたフィロ生地と、ナッツの香ばしいサクサクがたまらない。ドライフルーツを入れたものは独特の甘さで幸せを運んでくれる。
ん~~~~、幸せ♪
「アップルパイなんかも生地を層状にしたスイーツだけど、ひと口サイズになるとまた違った食感に思えるな。小さくて具材の種類が違うから、いろんな味が楽しめる。ハティたちが作ったフムスは朝食のバゲットに塗って食べるってことだけど、これもスイーツと一緒に食べてもいけるな」
ハティに問いかけると、彼女は満面の笑みで答える。
「フムスはすごくおいしい。すみれが焼いてくれるバゲットもすごくおいしい。カントリーロードにあるゴルトヴィントのバゲットは全部おいしい!」
「そんなにおいしいバゲットを焼く店があるのか。今度グレンツェンに行った時はその店に寄ってみよう」
ゴルトヴィントの名前を聞いて、ペーシェがあたしの隣に来てくれる。
「バゲットもいいんですけど、個人的にはフィセルを推します。ふわふわでもちっとした食感なので、暁さんたちには馴染みのある食感だと思いますよ」
ペーシェの言葉にキキとヤヤ、アルマも肯定した。
「キキもフィセルが好き。ふわふわとカリカリが一緒になってて、中がもちっとしてておしいの。ハティさんが作ってくれるフムスを塗って食べるとすっごくおいしんだよ♪」
「私もフィセルは大好きです。中身がもっちりしたバタールも絶品です」
「アルマは中身がずっしり詰まったカンパーニュが好きです。カンパーニュを溶いた卵に一日つけて、フレンチトーストにして、フレンチトーストでベーコンと葉野菜とフムスを挟んで食べるのが絶品です!」
感心するあたしが反応するより早く、ペーシェとベレッタが驚いた表情でアルマに迫る。
「フレンチトーストをサンドイッチに使うって超贅沢じゃん! 考えたこともなかったわ。今度あたしも食べたい」
「すごく面白い発想だね。具材はほかにもいろいろ使うの? よかったら教えてほしい!」
好きなことできゃきゃいする女の子、眼福ですわー♪
話題を取られてしまったが、これはこれでよし!




