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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 34

 あたしは知らなかったのだが、これはサンジェルマンさんが女の子の連絡先をもらう時に使う常套句のひとつ。無駄に豊富な人脈を盾に、恋の仲介役をすると言って連絡先を交換するというこすい手口。もしかすると結婚できるかもなので、お互いがウィンウィンになるとはいえ、彼をよく知る人からすると『またせこいことやってんなあ』と呆れられる。

 とはいえ、交換した連絡先を悪用するわけではないので問題ないっちゃ問題ないらしい。


 雑談をしながら厨房へ戻ると、チーズの匂いが部屋を支配していた。バクラヴァに使ったチーズの匂いが充満する。全ての窓を全開にして換気しても匂いが窯から作られる。

 子供たちの絶望した顔を見てられぬ。どうすれば彼らを笑顔にできるだろう。

 とりあえずチーズのバクラヴァを子供たちに近づけさせないようにしようか。


「みんなー! シルヴァさんが素敵なスイーツを教えてくれたよ。バクラヴァって言って、とってもサクサクで甘くておいしいスイーツ。チーズを入れてみたから食べてみて♪」

「「「「「……………………」」」」」


 みんな超嫌そうな顔してる!

 チーズだけじゃないって付けくわえておこう。


「チーズもあるし、はちみつとかナッツとか、ドライフルーツを入れた甘くてサクサクなバクラヴァもあるぞ。ハーブティーもあるから、みんないっぱい食べてくれ♪」

「「「「「はちみつっ!」」」」」


 一瞬で笑顔の花が咲いた。子供っていうのは素直でかわいいなあ。

 テーブルの上にこんもりと乗った小麦色の焼き菓子を見て、みんなのテンションが上がる。

 と、同時に、どれがチーズなのかを真剣に見極める。安心してくれ。既に仕分けしてあるから。


「テーブルの右側があまいバクラヴァ。左側がチーズやひき肉、野菜なんかを詰めたバクラヴァだ。残った分はみんなの晩御飯になる」

「晩御飯になる…………ッ!」


 それすらも嫌なのか。どんだけチーズを食わせたらここまで嫌がられるんだ?

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