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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 26

 エイリオスおじいちゃんと言えば、アルマと混ぜると大爆発を起こしそうなベルン側の世界でも随一の魔法使い。アルマとは研究室内だけで手を取り合ってほしい。野外に出たら魔法をぶっぱなしたい衝動にかられるに違いない。


「ところで、エイリオス氏はマジック・コンペティションに参加するんですか?」

「そんなことさせたら大惨事確定じゃないか。おじいちゃんにはいつも解説席に座ってもらってる。そこで我慢してもらってる」

「それはよかった」


 これを聞いたアルマがいつの間にかシェリーさんの隣にいた。


「エイリオスさんにアルマの魔法を見てもらえるということですか?」

「まぁ、そういう、ことになるな」

「ほっほ~う♪ ほっほほ~う♪」

「アルマ、節度を守って魔法を撃てよ」

「わーかってますってえ~♪」

「超心配ッ! ペーシェ、手綱は任せた」

「御しきれる自信がねえっす……。ま、なんとかなりますよ!」

「頼もしい返事!」


 ペーシェがそう言うのなら大丈夫だろう。黝が魔法の才能を認め、太郎が近接戦闘を叩きこみ、リリス姫によって己の内に宿るユニークスキルを認識した彼女なら、どんな相手も瞬殺できる。

 ハティもいるし、大丈夫だろ。


 この数週間後のオータムフェスティバルで、まさかハティとクロが手を組んで戦うことになったり、すみれが額を触られなくない理由が明かされたり、ペーシェの弟君の好きな人が公になってアダン家がてんやわんやになったりすることなど、今のあたしには分からないことだった。


 ♪ ♪ ♪


 お腹がいっぱいになった子供たちはふわふわの毛並みの上ですやすやと寝息を立てる。

 暖かな秋風薫る風に揺られ、あたしは今、奇跡を堪能する。

 自然の節理に反する不死の身だからか、動物に超嫌われる体質のあたしは動物をもふもふするどころか触ることすら、近づくことすらできない。

 だが、今、あたしはついに、まともな獣に寄りかかってもふもふを堪能している。大きさにして3メートル級の三つ首の犬。黄金の毛並みを持つ狼。巨大な毛玉のようなもっふもふのにゃんこを抱いて、巨大な獣を背に昼寝をする子供たちに囲まれた。

『獣』の前に『魔』がつくのはご愛敬。ケルベロスも金狼も、ふわふわきゃっともみんな愛らしくてたまらない。これがアニマルセラピー。想像以上の幸福感♪

 あたしのでろんでろんの表情を見たシェリーさんがアルマに言う。


「暁が見たことないほどに幸せな表情をしてるな」

「暁さんがルクスさんのおっぱいに顔をうずめた時と同じような顔をしてますね」

「同列で考えたくないんだが……」


 なにか不名誉なことを言われた気がするが気にするまい。

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