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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 18

 叫ぶと、堂々と現実逃避しようとする人間を見るような目をしたペーシェがつっこむ。


「暁さん!?」

「ペーシェよ、どうしようもないことを考えてもどうしようもないんだ。ペーシェが原因で世界が滅亡する方はハティに任せる。あたしはこっちの世界の滅亡をなんとかする。以上、話し終わり」

「終わらせて……いいんですか…………?」

「今はめいいっぱい、今を楽しもう。明日も明後日も、滅亡を阻止した世界のそのあとに、今日と同じ、いや、それ以上の幸せを堪能するためにっ!」

「正論ですが、問題の先送りですよね?」

「――――――――キキ、ヤヤ、孕伽、孕子、今日のお昼ご飯はシャングリラではなかなか食べられないって言ってたお肉だぞ。どうだ、うまいだろ~♪」

「「「「おいしいっ!」」」」

「暁さん……」


 子供たちの機嫌を取るために、絶対に外さないお肉料理を持ってきた。

 超絶柔らかいトンポーロー。これが嫌いな人はいないでしょう。

 ほらもう子供たちの心を鷲掴みですわ。


「肉ちょーやわらけー! 魚ちょーうめー! パンめっちゃうめー!」

「卵焼きがふわっふわ! 卵焼きの中にチーズと野菜が入ってる! 半熟卵のサラダがとってもおいしい! とろっとろのオムレツも最高!」

「くだものがいっぱい! みたこともないくだものがいっぱい! ぜんぶきらきら! あまあまでしあわせっ!」

「い~っぱい準備してきたからね。たーっくさん食べてね♪」


 料理が大好き、人のためになにかをするのが大好きなすみれの笑顔が弾ける。

 レーレィさんも、ラムさんも、ベレッタもローザも料理をしてみんなを楽しませた。

 食卓を共にする人たちも笑顔が絶えない。こんな幸せな時間を、必ず守ってみせる。


 決意したあたしに、シェリーさんが諦観した表情で語りかける。


「すごくいい感じに締めくくろうとしてるところ悪いんだが、ハティが大活躍する未来しか見えない。そうなると、いくら『細かいことが気にならなくなる魔法』が世界にかけられていても、ハティは注目の的になるぞ? 今で一般人なら、ハティはあまり目立ちたくない性格だろう?」

「ハティが魔法の研究機関に出入りしたらそれこそですよ。大丈夫です。ハティはなにか嫌なことがあったら逃げます。全力で!」

「逃げるのか!? 意外だな」

「ストレスマックスなうえ、どう考えても自分ではどうしようもなくなると逃げます。真っ先にあたしのところに相談に来ますね。ありがたい」

「頼りにされてるんだな」

「まぁ、ハティがどうしようもなくなって逃げる状況って、とてつもない難題の時ですね。ハティは天才なので、基本的に自力でなんとかできます。戦闘系は魔法のレベルがアレなので、戦うとかそういう悩みは一度もないですね」

「ああ……拳で解決する系の悩みはなさそうだな。異世界人だから後腐れなく……って言ってももう無理かもだが」


 龍脈に魔法を流しちゃってますからね。後腐れなくっていうのは無理でしょう。

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