異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 9
まずはアツアツのかぼちゃグラタン。スプーンを差し込むととろ~りチーズとしんなりほうれん草がとろとろかぼちゃスープに沈む。それらを掬い上げて口へ運ぶ。チーズの塩味とコク、ほうれん草の旨味とかぼちゃの甘味が口の中で混然一体となる。
「うまいっ! ほうれん草もかぼちゃもチーズとよく合う野菜だから相性抜群だな。それでは、サバケバブはどうかな?」
焼きたてふんわりの生地の中に新鮮野菜と炙られたマサバの干物が入り乱れる。ソースは胡麻ドレッシング。胡麻の風味が野菜とマサバによく合う。
「うまいっ! 今日も朝から元気になれる。すみれ、ベレッタ、クラリス、アイシャ、本当にありがとう」
「「「「どういたしまして!」」」」
元気な笑顔が四つ一気に押し寄せる。日頃の疲れが一瞬で吹き飛ぶようだ。
「今日の朝食のレシピはすみれが考えたものなのか?」
「ケバブは私が、かぼちゃスープにほうれん草とチーズを入れるアイデアはベレッタさんにいただきました! 茶碗蒸しからヒントを得たようです」
「あ、えっと、卵を蒸した茶碗蒸しがほんとにおいしくて、蒸したかぼちゃを粗くほぐしたグラタンもいいんですけど、スープ状のかぼちゃにチーズを乗せて炙るのも面白いかな、って思いまして。喜んでいただけたなら嬉しいです♪」
「リィリィはどうだ? かぼちゃのスープってことだったけど、気に入ったか?」
「すっごくおいしい! とろ~りチーズとかぼちゃとほうれん草が全部おいしくて、すっごくおいしい!」
「そうかそうか。そんなに気に入ったなら、フレナグランのメニューに入れてもいいかもしれないな。アイシャ、どう思う?」
「いいと思います。簡単でおいしいですし、ほかの野菜を工夫して入れても味変できて楽しいです。スープみたいで、グラタンみたいで、面白いと思います」
「よし、さっそくメニューに追加だな。ベレッタ、すみれ、ありがとう」
「いえ、そんな、ただの思いつきだったので。でも本当に、喜んでいただけて嬉しいです」
「相変わらず謙虚だなあ。すみれもありがとう。クラリスも、アイシャもな」
「いえいえ、私は手伝っただけですから」
「私は暁さんのためなら、いつだっておいしいご飯を作りますよ♪」
4人ともいい子だなあ。いいお嫁さんになれるだろう。
ところで、と切り返して3人の予定を聞こう。




