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異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 6

 さて、すみれはどんな反応を見せるのか。

 怒るか?

 蔑むか?

 どうか嫌いにはならないでください。って、言っても無理か。


「――――ぷっ! あっはははははは!」


 笑った!


「もう、そうだったんですか。正直に言ってくださればよかったのに♪」

「すまん。あまりにおいしいから夜中につまみ食いした。セチアもそんな顔をしないでくれ。すみれのシチューを食べたら同じ気持ちになるから」

「そういう問題じゃない」

「ごめん」


 セチアに呆れられてしまった。

 すみれはおかしくて笑い、リィリィはそんなにおいしいシチューなら食べてみたいとこぼす。

 リィリィの希望にすみれが答えた。


「すぐに同じシチューは作れないけど、かぼちゃのスープなら作れるから、今日の朝ごはんはかぼちゃのスープとサンドイッチにしよう。みなさんもそれでいいですか?」

「「「「「賛成っ!」」」」」

「それでは、少し時短したいのでベレッタさんに料理を手伝ってもらっていいですか?」

「もちろんっ!」

「あ、よければ私も手伝いたいです。ご一緒させてもらっていいですか?」

「クラリスさんもぜひ!」


 そう言って、すみれはアイシャのいる厨房へベレッタとクラリスを連れて調理を始める。

 はぁ……なにはともあれ、すみれが笑って許してくれてよかった。

 それにしても…………。


「まさかみなさんも夜中に起きてシチューを食べたとは」


 隣に座ったヘラさんに目配せする。彼女も驚いたようで両の手をぱたむと閉じた。


「いやー、あんまりおいしから、つい♪」


 続いてインヴィディアさんもキュートな笑顔でヘラさんに同調した。


「本当にとってもおいしいよね。すみれちゃんのこともそうなんだけど、グレンツェンのことがもっと気になってきたわ♪」

「そう言ってもらえると嬉しいな。グレンツェンにもベルンにも、おいしいものはいっぱいあるから、ぜひともお越しになられてくださいね」


 一件落着と笑顔を向け合うも、どういうわけかセチアは不機嫌だ。

 せっかくの秋晴れ広がる朝だというのに、仏頂面は似合わないぞ?


「すみれさんに許してもらえたからよかったものの、怒られたらどうするつもりだったの? それと、シルヴァからすみれさんが作ったシチューが絶品だって聞いたから、楽しみにして来たのに……」


 そういうことか。知らず知らずにセチアの楽しみを奪ってしまった。ふてくされながらも、アポどりしてたわけじゃないセチアは不機嫌を我慢する。これ以上、小言を口に出さないだけで顔には出た。

 すまん、セチア。今度なにかおいしいものを奢ってあげるから。

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