異世界旅行2-6 木枯らし吹けば、焚火が燃ゆる 1
暁、ローザ、すみれの順番で視点が変わります。
暁、死す!
うっかりを連発した暁がまたもや死にます。不死身だからって死にすぎですね。普通の人間ならもうとっくに退場してるところです。それもまぁひどい理由なうえにひどい状況で死ぬもんですから全員顔面蒼白ですわ。
暁が死んじゃったのでローザが主観を交代します。医療術者のローザも元医療術者のヘラも友人の死に顔面蒼白。生き返るんだから呆然自失。キキたち曰く、暁が死ぬのはいつものことらしいのでスルーします。次に向かった先はローザが生涯でほとんど訪れないであろう華恋と職人のいる工房。そこで恋色の波動を感じ取ったローザが腹黒さを披露する。
最後に料理作るの大好き小鳥遊すみれ主観で締めくくります。
すみれは懐かしのクレールシスターズに会えて大興奮。初めましての人とも友達になれて大歓喜。
クレールシスターズの長女、ソフィアを侍女として取り戻すためにシャルロッテ姫様が大暴れ。はたして彼女はソフィアの心を取り戻すことができるのでしょうか?
以下、主観【紅 暁】
太陽の光が明かり窓から漏れる。毎日、ふかふかの布団から出るたびに身震いする数が増えた。
今日の朝も少し寒い。連日秋晴れが続き、残暑の残る中に突然現れる寒さ。
『嗚呼、そろそろ冬が来るのか』
そう思わせる白い世界からの先ぶれにはあまりいい思い出がない。冬の寒さは人を殺す。冬将軍の到来を前に、しっかりと備えなくてはならない。例年通りなら問題ない。秋の実りは充足。飢饉も不作もない。最高とすら言える。充足しすぎて怖いくらい。
不安要素があるとすれば、近いうちに世界を巻き込んだ戦争が起こると、ウララが予言したということ。
てっきりペーシェ関連かと思った。彼女が味方にいるなら大抵のことはなんとかなる。でも違うらしい。
良くも悪くもウララの占いは当たってしまう。戦争は起こる。だが、その先の勝利については見えなかった。彼女の占いをもってしても、先の見えない未来が待ち構えている。
水面下では先の見えない未来のために準備中。緊急物資を蓄えるために動いてる。
やれやれ。しかしまぁ、ウララのおかげで一寸先の闇が見えた。準備だけはできるのだからよしとしよう。
今日は一日暇にした。素晴らしい友人たちと一緒に素晴らしい秋のメリアローザを楽しもう。
身支度を整えて食堂に出る。すると、珍しいことにセチアたちがいた。リィリィもフェアリーたちもいる。普段なら自分の工房で朝食にするはず。なにかあったのかな?
昨日はセチアの工房に泊まったというシルヴァもアクアも食堂にいる。大きなバスケットを囲って談笑中。
挨拶をして同じ卓を囲もう。
「おはよう、セチア、リィリィ、シルヴァ、アクア、ローズマリー、月下、赤雷、白雲、バーニア。今日もいい朝だな。季節の変わり目だから、体調には気を付けてくれ」
挨拶をすると、真っ先にローズマリーがあたしの目の前に元気よく、ぴゅーんと飛んできた。
「暁、おはよう。今日はフレナグランに朝食を摂りに来たよ。今日はシルヴァに教えてもらったスイーツをみんなで作ってきたの。朝食のあとにみんなで食べよう」
「お、スイーツを作って来てくれたのか。それは嬉しいな。どんなスイーツを作ったのか、教えてもらっていいかな?」
「はいはいはーい! リィリィが教えてあげるっ!」
「今日も元気いっぱいだな。よろしく頼むよ」
椅子に座ると、少女は一生懸命に走ってあたしの隣に座り、バスケットを手前にひっぱってきてブランケットを外してみせた。




