表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
911/1083

異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 64

「調理したボラの皮の匂いを取り除く方法があれば……」

「そうですね。ボラが臭いのは水質の問題ですから、冬に沖を回遊するボラに限れば臭みのないおいしいボラが手に入るはずです。今日収穫されたお魚さんたちは沿岸部で収穫したものですよね?」


 ショウさんに聞くと、答えはイエス。


「まだ船が完成してないから、漁は川か沿岸部までだね。そうか、収穫時期で魚の体質が違うのか。いろいろ体験してみないと分からないな」

「ですね。みなさんはエルドラドに来てから日が浅いですから、なにごともトライ&エラーです。チャレンジしていきましょうっ! ひとまず、おいしいボラ料理を楽しみましょう。こちらに煮込んだボラ鍋がありますので、今晩のおかずにどうぞ!」

「いいの? それはすごく助かるな。本当にありがとう。すみれちゃんにはお世話になりっぱなしだね」

「いえいえ、私もいろんな食材を料理できて楽しいです。こちらこそ、本当にありがとうございます」


 お辞儀をするとリンさんからも優しい言葉をかけられる。


「すみれ、本当にありがとう。これでまたおいしいお魚をみんなで食べることができる。でも……」


 言葉を濁して未調理のボラを見る。見た途端、しかめっ面をして目を逸らした。


「今日のところは、申し訳ないんだけど、あるだけの臭い魚……ボラをなんとかしてもらえると助かるのだけど…………」

「いいんですか? もらって帰っちゃいますよ?」

「大丈夫です。誰も手をつけないので。むしろ申し訳ないくらいです。いらないものを押し付けたみたいで」

「とんでもありません! いただけるならいただきます。それにこのままだと廃棄されてしまいそうですし」

「本当にありがとうございます。助かります」


 ぐぬぬぬ……!

 ボラのおいしさを知ってもらえたがしかし、残念ながら時期が早かったようだ。私が知る寒ボラ並みにエルドラドのボラはおいしい。だからおいしさを知れば精神的ハードルが下がると思ったのに。

 ボラさん、力不足でごめんね。

 せめてメリアローザに持って帰っておいしく調理してあげる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ