異世界旅行2-5 旬には少し早すぎて、だから今から待ち遠しくて 50
半分ほど食べ終わって、国王様は暁さんに語りかけた。
「ところで、異世界間交流の準備をしているということだけど、進捗はどうかな? 今日はダンジョンに登ってモンスターを倒しに行ったということだが」
「あたしとしては順調だと考えております。ただ、あたし自身がグレンツェンやベルンをあまり視察しに行けてないので、まだまだこれからなにができるか、お互いがなにを求めるかを、求めるとして、適正な技術であるかどうか、危険はないか、お互いのためになるか、まだまだ考えないといけないことは山のようにあります。ですが、これからもっと楽しくなるということはお約束できます」
「うんうん。それは実に素晴らしい。これからもどうかよろしく頼むよ」
「もちろんです!」
暁さんの元気な声が腹に響く。アッシュグレーのかっこいい髪色の国王様は満面の笑みを浮かべてご飯を平らげた。
満足そうに溜息をつき、ランチを作った人を呼んだ。私だっ!
「すみれちゃん、今日は急に無理を言ってすまなかったね」
「いえそんな。おいしいって言ってもらえて嬉しいです。もしグレンツェンに来られた際には、ぜひとも我が家のホームパーティーにお越しください。めいいっぱい、おもてなしいたします!」
「はっはっは! それはとても楽しみだ。しかし残念ながら、私は異世界に、それどころか、わけあってメリアローザからは出られないのだ。すまないね」
「そうなんですか? ではメリアローザでホームパーティーしましょう!」
「それはとても楽しみだ。それじゃあ」
続きを言おうとする国王様の言葉を遮るように、隣に控える秘書の女性が言葉を切った。
「それでは後日改めて、事前予告をしたうえで入念な準備を用意したあとに頼むといたしましょう。ね、国王様?」
「――――あ、うん。そうだね」
秘書さんの笑顔が笑ってない。
もしかして、国王様の『それじゃあ』って、今夜って言おうとしたやーつでしょうか。
私としては今夜でもいいのだけれど、そこは体裁があるのだろう。これ以上、私が言及してはならない気がした。




